【解説】道路橋示方書の支持層のN値の目安|土質ごとの目安と注意点
「支持層のN値の目安を根拠と一緒に知りたい」
このような技術者は多いと思います。
そこでこの記事では、支持層のN値の目安と、N値の目安を使うときの注意点を道路橋示方書を元に解説します。
この記事を読むことで、支持層の条件と、N値を読むときの注意点が理解できるようになります。
結論から申しますと、支持層のN値の目安は、粘性土層で20程度以上、砂層・砂れき層で30程度以上です。
道路橋示方書の支持層のN値の目安は粘性土で20程度、砂と砂れきで30程度
N値の目安は、地層の種類によって異なります。道路橋示方書に記載の粘性土層の目安は、N値20程度以上です。また、砂層と砂れき層の目安は、N値30程度以上となります。
| 地層の種類 | 支持層のN値の目安 | N値と一緒に確かめる事項 |
|---|---|---|
| 粘性土層 | 20程度以上 | 一軸圧縮強度quが0.4N/mm²(400kN/m²)程度以上 |
| 砂層 | 30程度以上 | 液状化や洗掘の影響を受けないこと |
| 砂れき層 | 30程度以上 | 礫当たりでN値が過大になっていないこと |
| 岩盤 | 岩盤の性状で判断 | 割れ目などの不連続面やスレーキングの影響 |
N値とは、標準貫入試験で、サンプラーを地盤へ30cm打ち込むのに要した打撃回数のことです。
地盤がよく締まっている場合や地盤が硬い場合にN値は大きくなります。
岩盤の項目にあるスレーキングとは、岩が乾燥と吸水を繰り返して細かく崩れる現象のことです。
設計者は、岩盤を支持層とする場合に、スレーキングや割れ目の影響を事前に検討する必要があります。
支持層を決めるときの確認の順序
また、支持層は、N値だけで判断せずに、次の順序で確認しましょう。
- 土質区分の確認:柱状図で、粘性土・砂・砂れき・岩盤のどれに当たるかを確かめる
- N値の確認:粘性土は20程度以上、砂と砂れきは30程度以上の層を探す
- 層厚の確認:支持層が薄くないか、支持層の下に軟弱層や圧密層がないかを確かめる
- 長期安定の確認:斜面崩壊等、洗掘・侵食、液状化、圧密沈下の影響を確かめる
- 施工の影響の確認:施工による乱れで、支持層の強度と剛性が失われないかを確かめる
特に鋭敏比の高い火山灰質粘土などは施工時の乱れによって強度が著しく低下するため、注意が必要です。
支持層に求められる2つの条件
道路橋示方書では、支持層に2つの条件を求めています。
1つ目の条件は、長期的に安定して存在することです。
2つ目の条件は、基礎を支持するための十分な地盤抵抗が得られることです。
| 支持層の条件 | 支持層の条件を満足するために確かめる内容 |
|---|---|
| 長期的に安定して存在すること | 斜面崩壊等、洗掘・侵食、液状化、圧密沈下の影響を受けないこと |
| 十分な地盤抵抗が得られること | 十分な強度と剛性を持つこと、施工による乱れで強度と剛性が失われないこと |
たとえばN値の目安を満たす地層でも、液状化する層や洗掘される層は、支持層の条件を満足しません。
ちなみに長期安定の条件は、被害の事例を踏まえて、2017年(平成29年)の改定で新たに規定されました。
支持層のN値の目安が粘性土20・砂30である理由
粘性土と砂では同じN値でも地盤の性質が異なる
粘性土と砂では、同じN値でも地盤の性質が異なります。
N値は、粘性土では小さめに出る傾向があり、砂質土や礫質土では大きめに出る傾向があります。
また、粘性土層は、砂層に比べて大きな支持力を期待できず、沈下量も大きい場合が多い地層です。
設計者は、粘性土層を支持層とする場合に、一軸圧縮強度の確認と沈下の検討を行う必要があります。
支持層をN値で判断するときの注意点
砂れき層のN値は礫当たりで過大になる場合がある
砂れき層のN値は、サンプラーが礫をたたくと、実際の締まりよりも大きく出る場合があります。
直径35mm程度以上の礫や玉石が混じる地盤では、特に注意が必要です。
支持層の厚さと支持層の下の軟弱層の確認が必要
支持層が薄い場合は、N値の目安を満たしていても注意が必要です。
支持層の下の圧密層が基礎に影響する範囲は、基礎底面から基礎幅の3倍程度までが目安です。
ボーリングで支持層を何m確かめるかは、NEXCO(ネクスコ)の調査要領の掘り止めの目安が参考になります。
| 土質 | N値 | 支持層を確かめる層厚 |
|---|---|---|
| 粘性土 | 20以上 | 5m |
| 砂質土 | 30以上 | 5m |
| 砂礫・玉石・転石混じり土砂 | 50以上 | 3m |
| 風化岩・軟岩 | 50以上 | 3m |
| 硬岩 | - | 2m |
上の表の値は、高速道路3会社の「調査要領」(平成29年7月)に示された、ボーリングの掘り止めの目安です。
道路橋の直接基礎は一般に沖積世の新しい表層に支持させない
沖積世の新しい表層は、道路橋の直接基礎の支持層として一般に用いない地層です。
沖積世の新しい表層を支持層に用いない扱いは、1990年改定のⅣ下部構造編で、長期の安定性に配慮して示されました。
N値の目安を満たす沖積層を支持層の候補とする場合は、液状化や圧密沈下の影響を受けないかを確かめてください。
支持杭の先端は支持層へ杭径程度以上根入れする
支持杭の先端は、支持層へ杭径程度以上根入れすることが目安です。
杭長に余裕を見込む理由は、想定した支持層の深さに、地盤調査の頻度や地盤の不均一さによる誤差が含まれるからです。
支持層のN値の目安のまとめ
以上。本記事では支持層のN値の目安について解説しました。
本記事のまとめは以下のとおりです。
- 支持層のN値の目安は、粘性土層で20程度以上、砂層・砂れき層で30程度以上
- 道路橋示方書は、支持層に長期的な安定と十分な地盤抵抗の2つの条件を求めている
- N値の目安を満たす層でも、液状化、洗掘・侵食、圧密沈下の影響を受ける層は、支持層の条件を満足しない
- 砂れき層のN値は、礫当たりで過大になる場合がある
- 支持層の厚さと、支持層の下の軟弱層や圧密層の確認が必要
支持層を決めるときは、柱状図のN値と土質を見比べ、支持層の2つの条件を1つずつ確かめてみてください。
参考にした基準・資料
- 公益社団法人 日本道路協会『道路橋示方書・同解説 Ⅳ 下部構造編』平成29年11月 Amazonで見る
- 社団法人 日本道路協会『道路土工-土質調査指針』昭和61年11月 改訂版
書籍へのリンクにはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。