逆T式橋台の設計|道路橋示方書(平成29年)・直接基礎・杭基礎

v1.1.5 最終更新日: 2026-10-21

インストール不要で使える無料の逆T式橋台の設計計算用フリーソフトです。道路橋示方書(平成29年)の部分係数設計法で、直接基礎・杭基礎の安定と、たて壁・パラペット・フーチング・ウィング・踏掛版・杭体の限界状態の照査を行うことができます。杭基礎はレベル2地震動の照査にも対応します。

このツールで検討できること
  • 直接基礎・杭基礎の逆T式橋台について、橋台の全幅で基礎の安定を照査します。直接基礎は変位の制限・鉛直支持・滑動・転倒、杭基礎は杭の押込み・引抜き・杭頭の水平変位です。上部構造の反力は橋台1基の全幅の値を入れます。
  • たて壁・パラペット・前フーチング・後フーチング・ウィング・踏掛版について、1mあたりの断面で限界状態1・3の曲げとせん断、耐久性能、最小・最大鉄筋量を照査します。杭基礎は、杭体(場所打ち杭・鋼管杭)と杭とフーチングの接合部も照査します。
  • 永続作用・変動作用(レベル1地震動を含む)の作用の組合せで照査します。杭基礎でレベル2地震動の照査が要る条件に当たるときは、押し切りで杭基礎の降伏と応答塑性率を求め、応答の状態で杭体・接合部・フーチングを照査します。支承縁端距離と橋座部の耐力も照査します。
対象外・注意が必要な条件
  • 直接基礎で、液状化が生じる土層を有する地盤上の橋台など、レベル2地震動の照査が要る橋台は対象外です(杭基礎ではレベル2地震動の照査を行います)。
  • 照査は橋軸方向の断面だけです。斜め橋台・橋軸直角方向の照査、躯体に働く浮力、前面の水平抵抗、突起は考慮しません。杭はすべて鉛直で、等間隔の格子に並べ、杭頭はフーチングに剛結とします。
  • 直接基礎の支持力係数は道路橋示方書の図を式で表したもので計算します。最小かぶり・配力鉄筋などの構造細目の一部は照査しません。液状化の判定は行わないので、低減係数 DE は地層ごとに入れてください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

平成29年の道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)で照査します。

道示Ⅴ 表-3.4.1 の地域区分です。架橋地点が境界線上にあるときは、係数の大きい方を選んでください。

道示Ⅴ 3.6 の地盤種別です(地盤の基本固有周期 TG が 0.2 秒未満はⅠ種、0.6 秒未満はⅡ種、それ以上はⅢ種)。地盤面の設計水平震度 khg(0.16・0.20・0.24 に地域別補正係数を掛けた値)を決めます。

地震時土圧と後フーチング上の土の慣性力には、常に地盤面の設計水平震度 khg を使います(道示Ⅴ 4.1.6(6))。躯体と上部構造の慣性力は、固有周期から求める kh(表-4.1.1)が原則で、短い周期の側の下限は khg と同じ値です。

橋台と上部構造の設計振動単位の固有周期です。道示Ⅴ 表-4.1.1 の標準値 kh0 に地域別補正係数を掛け、小数2桁に四捨五入します(0.10 を下回るときは 0.10)。

躯体と上部構造の慣性力に用いる設計水平震度をそのまま入れます。

液状化が生じる土層を有する地盤の上の橋台と、レベル2地震動で荷重の支持条件が変わる橋台は、レベル2地震動の照査が要ります(道示Ⅴ 11.2)。当たらないときは、レベル1地震動の照査で満たすとみなします。杭基礎で当たるときはレベル2地震動の照査を行い、直接基礎で当たるときは総合判定に「対象外」と出します。

2. 躯体の形状

フーチングの下面からパラペットの天端(背面の路面の高さ)までです。背面土はこの高さまで水平に盛られているとします。

フーチングの厚さです。前フーチング・後フーチングとも同じ厚さとします。

橋座面(支承を置く面)からパラペットの天端までです。たて壁の高さは「橋台高 − フーチング厚 − パラペット高」で求めます。

パラペットの背面はたて壁の背面にそろえます。たて壁厚以下にしてください。

たて壁の厚さ(橋軸方向)です。前面・背面とも鉛直とします。

フーチングの橋軸方向の幅です。後フーチング長は「フーチング幅 − 前フーチング長 − たて壁厚」で求めます。

フーチングの前面の端からたて壁の前面までです。

橋台の橋軸直角方向の幅です。基礎の安定はこの幅の全体で、部材は1mあたりで照査します。

前フーチングの上にある土の厚さです。安定計算の鉛直力に入れ(単位体積重量は γ2)、慣性力は入れません。前フーチングの部材の照査では見込みません(道示Ⅳ 7.7.1)。

3. 背面土

盛土の目安は、砂及び砂れき 20、砂質土 19、粘性土 18 kN/m3 です(道示Ⅰ 表-解8.7.2)。舗装も背面土と同じ材料として扱います。

常時の主働土圧係数(クーロンの式)と壁面摩擦角(安定計算 φ、壁の断面計算 φ/3)に使います。

地震時土圧係数の式を選びます(道示Ⅴ 式(4.2.2))。

自動車・群集の影響は 10 kN/m2 で見込んでよいとされています(道示Ⅰ 8.7)。活荷重を含む組合せの土圧と、後フーチング上の鉛直力に入れます。

4. 基礎

杭基礎は、フーチングを剛体とし、杭頭をフーチングに剛結した鉛直の支持杭として、変位法で杭反力を求めます(道示Ⅳ 10章・参考資料6)。杭と地層は次の段で入れます。

鉛直地盤反力度の制限値(表-9.5.1・9.5.2)と、極限支持力の地盤の種類の係数(砂・砂れき 1.00、粘性土 0.55)を決めます。岩盤は極限支持力を求めず、地盤反力度で照査します(表-9.5.5)。

極限支持力(式(9.5.5))と、底面を支持地盤と一体にしたときの付着力に使います。

支持力係数 Nc・Nq・Nγ(図-9.5.1 を式で表したもの)と、基礎底面の摩擦角に使います。

基礎の底面より下の支持地盤です。地下水位より下は水中単位体積重量を入れてください。

基礎の底面より上の根入れ部分の地盤です。上載荷重 q=γ2・Df と前フーチング上の土の重量に使います。

上載荷重として見込む根入れ深さです(前面の地表面からフーチング下面まで。洗掘などで失われるおそれのある部分は除きます)。

支持層(同程度の良質な層)に根入れした深さです。極限支持力の割増し κ=1+0.3 Df′/B に使います。

基礎底面と地盤の摩擦角を決めます(道示Ⅳ 表-9.5.7)。コンクリートを直接打つときは土で 2φ/3、岩で tanφB=0.6、栗石・砕石を敷くときは tanφB=0.6 と φ の小さい方、支持地盤と一体のときは φ と付着力 c です。

5. 杭

場所打ち杭は鉄筋コンクリートの円形断面、鋼管杭は鋼管の断面で杭体を照査します。極限支持力度・最大周面摩擦力度は工法ごとの値(道示Ⅳ 表-10.5.2・10.5.3)です。

打込み杭は杭先端から杭径の2倍、中掘り杭は1倍上方まで、回転杭は支持層の上面までの周面摩擦力を、押込みの支持力に見込みません(10.5.2 の解説)。

羽根の外径の杭径に対する比です。先端の支持力と引抜きの羽根の効果(式(10.5.7))に使います。

場所打ち杭は設計径(公称径)、鋼管杭は外径です。

杭頭(フーチング下面)から杭先端までの長さです。杭先端は入力した地層の中に置いてください。

橋軸方向に並ぶ杭の列の数です。列は等間隔に並べ、杭はすべて鉛直とします。

隣り合う列の中心間隔です。杭径の2.5倍以上が標準です(道示Ⅳ 図-解10.8.8)。2.5倍未満のときは、水平方向地盤反力係数を群杭の影響で低減します(式(解10.7.1))。

最外縁の杭の中心からフーチングの縁端までは、杭径以上が標準です(道示Ⅳ 10.8.7)。

1つの列に並ぶ杭の本数です。橋台の幅の中央に対称に、等間隔に並べます。

橋軸直角方向に並ぶ杭の中心間隔です。側方の縁端距離は「(橋台の幅 −(本数−1)× 間隔)÷ 2」になります。

腐食しろを含む肉厚です。最小肉厚は 9mm です(道示Ⅳ 10.10.1)。

土や水に接する外面の腐食しろです。海水などの影響を受けず防食もしないときは 1mm が目安です(道示Ⅳ 10.10.1 の解説)。剛性・応力度の計算は腐食しろを除いた断面で行います。

降伏強度の特性値は SKK400 が 235、SKK490 が 315 N/mm2 です(道示Ⅳ 表-10.8.3)。

杭頭を鉄筋かご(中詰め補強鉄筋)でフーチングに結合する方法で照査します(道示Ⅳ 10.8.7)。補強鉄筋の種類は「材料と配筋」の鉄筋の種類とします。

仮想鉄筋コンクリート断面(杭径+0.25×杭径+100mm、加える分は400mmまで)に入る補強鉄筋の本数です。

鋼管の内面から補強鉄筋の中心までの距離です。ずれ止めと鉄筋のあきは 15mm 以上が標準です。

杭のコンクリートの設計基準強度です。ヤング係数(道示Ⅲ 表-4.2.3)と断面の耐力に使います。

SD390・SD490 を使う場所打ち杭は、レベル2地震動で基礎を塑性化させないのがよいとされています(道示Ⅳ 10.9.3 の解説)。

軸方向鉄筋は D22 以上・6本以上・鉄筋比 0.4〜6% が標準です(道示Ⅳ 表-10.10.1)。

円周に等間隔に並べるとします。

杭の外周から軸方向鉄筋の中心までです。かぶり(鉄筋の最外面から外周まで)は 120mm 以上が標準です(道示Ⅳ 10.10.5)。

帯鉄筋は D13 以上が標準です。せん断に対する補強と、レベル2地震動の横拘束の効果に使います。

フーチング下面から杭径の2倍の範囲は 150mm 以下が標準です(道示Ⅳ 10.10.5)。

6. 地層

フーチング下面(設計上の地盤面)から下へ、杭先端より深いところまで地層を入れます。杭の周面摩擦力(道示Ⅳ 表-10.5.3)と、水平方向地盤反力係数・受働土圧(レベル2地震動)を層ごとに求めます。液状化が生じる層は、低減係数 DE(道示Ⅴ 7.3)を入れてください。

杭の水平変位の制限値(道示Ⅳ 表-10.5.5(b))と、杭頭の曲げに対する杭体の照査(表-10.8.2(b) の正曲げ)の調査・解析係数を決めます。地中部の曲げ(負曲げ)は 0.90 です。

水平方向・鉛直方向の地盤反力係数の換算係数 α を決めます(道示Ⅳ 表-8.5.1)。N値が5未満の層は、N値から変形係数を推定しないのがよいとされています。

フーチング下面から地下水位までの深さです。杭と土の有効重量、受働土圧の有効上載圧に使います。

杭先端の極限支持力度(道示Ⅳ 表-10.5.2)に使います。

杭先端の地盤の種類です。中掘り杭と回転杭は、粘性土の極限支持力度が規定されていないので、0 として計算します。

最大12層
層厚(m) 土質区分 N値 c(kN/m2) γt(kN/m3)湿潤 γsat(kN/m3)飽和 φ(度) E0(kN/m2) DEL1 DEL2 タイプⅠ DEL2 タイプⅡ
1
2
3
4

粘性土の最大周面摩擦力度は、粘着力 c を入れた層は c から、入れていない層(c=0)は N値から求めます(道示Ⅳ 表-10.5.3)。φ は砂・砂れきの受働土圧(レベル2地震動)に使います。変形係数 E0 は、N値から推定するときは E0=2800N が目安です(道示Ⅳ 表-8.5.1)。DE は液状化が生じない層では 1 です。

7. 上部構造と橋座部

橋台1基が受ける上部構造の死荷重反力の合計(全幅)です。

上部構造に L 荷重を載せたときの橋台1基の反力の合計(全幅、衝撃を含めない)です。支間長が短い(おおむね15m以下)ときは、T 荷重による反力の方が大きいことがあります。

たて壁の前面から支承の中心までの水平距離です。パラペットの前面より前に置いてください。

固定(弾性支承を含む)は、上部構造の重量 WU に設計水平震度を掛けた慣性力を、可動は支承の静摩擦力(μ×死荷重反力)を、レベル1地震動の水平力として支承の底面に作用させます(道示Ⅴ 4.1.1・4.1.3)。

この橋台が橋軸方向の慣性力を受け持つ上部構造の重量です。単純桁の固定側は、可動側の支点が受け持たない分を含めた上部構造の全重量になります。

可動支承の静摩擦係数です。支承の形式に合わせて入れてください。

温度変化などで支承から橋台へ伝わる水平力(特性値)です。0 のときは、温度変化の影響を含む組合せ(③⑤⑨)を省きます。

橋座部の耐力の照査と、杭基礎のレベル2地震動の照査に使います。道示Ⅴ 11.3 の解説では、固定支承はレベル2地震動のときの支承部の水平反力(橋全体の解析の値)を使います。橋全体の解析をしていないときの簡便な値として、レベル2地震動の設計水平震度 khA を上部構造の重量に掛けた値を選ぶことができます。

橋全体の解析で求めた、この橋台の支承部の水平反力の合計(タイプⅠ)です。

同じく、タイプⅡの水平反力の合計です。

橋座部の支承縁端距離の照査(S ≧ 0.2+0.005l)に使います。

支承(下沓)の縁端から橋座の前面の縁端までの距離です。

橋台に並ぶ支承の数です。支承から作用する水平力と死荷重反力は、支承に等しく分けます。

支承の下鋼板の面積です。死荷重反力による支圧応力度 σn(コンクリートの負担分の係数 α を決める、道示Ⅳ 図-7.6.1)に使います。

背面側のアンカーボルトの中心から側方と下方へ 45° の広がりを考えた3つの面の面積の合計です(道示Ⅳ 図-解7.6.3)。

支承の背面側のアンカーボルトの中心から、橋座の前面の縁端までの距離です(道示Ⅳ 図-解7.6.4)。

水平に配置した鉄筋のうち、抵抗面にまたがって十分に定着したものです。種類は「材料と配筋」の鉄筋の種類とします。

支承1基の抵抗面にまたがる補強鉄筋の本数です。補強鉄筋の負担分は、橋座部の耐力の5割程度以下となるようにするのがよいとされています。

橋座面から補強鉄筋の中心までの深さです。da 以上の深さの鉄筋は効かないとして扱います。

8. パラペットと踏掛版

踏掛版を置くときは、パラペットの照査が踏掛版の反力と慣性力の形になり(道示Ⅳ 式(解7.4.7)(解7.4.8))、踏掛版そのものも照査します(参考資料4)。

踏掛版の長さです。支間は長さの70%として単純ばりで計算します。

踏掛版の厚さです(単位体積重量は γc)。

踏掛版の上の舗装の厚さです(単位体積重量 22.5 kN/m3)。T 荷重を分布させる幅(0.2+2d)にも使います。

パラペットの背面から踏掛版を受ける受台の先端までです。踏掛版の反力は受台の幅の中央に作用するとします。

受台の高さです。パラペットの照査の慣性力に、受台の重量を入れます。

踏掛版の下側の引張鉄筋です(間隔は 150mm が標準)。

引張鉄筋の中心間隔です。

踏掛版の下面から引張鉄筋の中心までです(かぶりは 70mm 以上が標準)。

9. ウィング

ウィングを慣用法で照査します(道示Ⅳ 7.4.5)。

側壁タイプはたて壁とフーチングに固定された2辺固定版、パラレルタイプはたて壁・パラペットに固定された片持版として計算します。

たて壁の背面からウィングの先端までの長さです。側壁タイプはフーチングの上にあるとし、高さはフーチング上面から天端までです。8m 以上は2辺固定版として解析することが望ましいとされています。

パラレルタイプの、たて壁・パラペットに固定される付け根の高さ(天端から下端まで)です。

パラレルタイプの先端の高さです。付け根から先端まで下端が直線で上がるとします。

ウィングの厚さです。

踏掛版なし・歩道等なし・角度が90度未満の側壁タイプは、静止土圧(K0=0.5)で設計します(道示Ⅳ 7.4.5 の解説)。

歩道のほか、通常は自動車荷重が載らない路肩なども含みます。幅がおおむね1m未満なら「なし」です。

土に接する内側の水平鉄筋です。たて壁で支える片持ばりの部分(A・B)を受け持ちます。

水平鉄筋の中心間隔です。

土に接する内側の鉛直鉄筋です。フーチングで支える片持ばりの部分(C)を受け持ちます。

鉛直鉄筋の中心間隔です。

ウィングの内側の表面から主鉄筋の中心までです。

10. 材料と配筋

ヤング係数・コンクリートが負担できるせん断応力度などを、道示Ⅲの表からこの値で決めます。

降伏強度の特性値(345・390・490 N/mm2、道示Ⅲ 表-4.1.1)を使います。

道示Ⅰ 表-8.1.1 の鉄筋コンクリートは 24.5 kN/m3 です。

背面の土圧で引張りになる側の鉛直鉄筋です。

中心間隔です。乾燥収縮・温度のひび割れに対して 300mm 以下にします。

前面の鉛直鉄筋は、背面の鉛直鉄筋の1/2以上にします(道示Ⅳ 7.4.2)。

中心間隔です。

表面から主鉄筋の中心までの距離です(配力鉄筋は外側に配置します)。最小かぶり(土中 70mm、道示Ⅳ 表-5.2.1)は配力鉄筋を含む外側の鉄筋で確保してください。

背面の土圧と輪荷重で引張りになる側の鉛直鉄筋です。

中心間隔です。

踏掛版の反力で引張りになる側の鉛直鉄筋です。

中心間隔です。

表面から主鉄筋の中心までの距離です。

前フーチングの引張主鉄筋です。後フーチングの下面にも、後フーチングの引張主鉄筋の1/2以上を置きます(道示Ⅳ 7.7.5)。

中心間隔です。

後フーチングの引張主鉄筋です。前フーチングの上面にも、前フーチングの引張主鉄筋の1/2以上を置きます。

中心間隔です。

下面から主鉄筋の中心までの距離です。

上面から主鉄筋の中心までの距離です。

リアルタイムプレビュー

計算方法と適用範囲

計算式・適用範囲・使用基準と参考文献

このツールで計算できること

直接基礎・杭基礎の鉄筋コンクリートの逆T式橋台について、平成29年道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)による設計計算を行います。基礎の安定は橋台の全幅を1体として計算し、たて壁・パラペット・フーチング・ウィング・踏掛版の部材は1mあたりの断面で、杭体は杭1本ごとに照査します。

計算方法・使用式

  • 作用の組合せは、道路橋示方書Ⅰの表-3.3.1から、橋台で効く①D・②D+L・③D+TH・⑤D+L+TH・⑨D+TH+EQ・⑩D+EQ(レベル1地震動)を用います。温度変化などの水平力を入れないときは、③・⑤・⑨を省きます。
  • 基礎の変位の制限には、これとは別に、従来の常時に当たる1.00(D+L+E)の組合せも用います(Ⅳ 8.2)。土圧は、土の重量と地表載荷荷重から係数を掛けずに求め、そのうえで土圧の荷重組合せ係数・荷重係数を掛けます。
  • 土圧は、安定計算では後フーチングの端の鉛直な仮想背面に、壁の断面計算では躯体の背面に作用させます。常時はクーロンの主働土圧係数(壁面摩擦角は安定計算でφ、壁でφ/3)、地震時は修正物部・岡部法に基づく地震時主働土圧係数の近似式(Ⅴ 4.2)を用います。
  • 地震時土圧と後フーチング上の土の慣性力には、地盤面の設計水平震度khgを用います。躯体と上部構造の慣性力の設計水平震度は、khgと同じ値・固有周期から求める値・直接入力から選ぶことができます。上部構造の慣性力は支承の底面に作用させ、可動支承では支承の静摩擦力とします。
  • 直接基礎の安定では、変位の制限として鉛直地盤反力度・せん断地盤反力・鉛直力の作用位置(底面幅の1/6以内)を照査します。鉛直支持は、荷重の傾斜と偏心を考慮した合力Frが、極限支持力の0.65倍に係数を掛けた制限値を超えないことを照査します(Ⅳ 9.5.2)。
  • 極限支持力は、形状係数・寸法効果・根入れの効果を考慮した支持力の式で求め、支持力係数は図-9.5.1を式で表したもので計算します。滑動は底面のせん断抵抗力、転倒は鉛直力の作用位置(底面幅の1/3以内)で照査します。岩盤では鉛直地盤反力度で照査します。
  • 杭基礎は、フーチングを剛体とし、杭頭をフーチングに剛結した鉛直の支持杭として、変位法で杭頭反力を求めます(Ⅳ 10.6・参考資料6)。荷重は杭だけで支持させ、フーチング底面の地盤の抵抗は見込みません。杭は、橋軸方向に等間隔の列と、列ごとに等間隔の本数で並べます。
  • 杭1本の押込み支持力は、杭先端の極限支持力度と地層ごとの最大周面摩擦力度から求め、工法ごとの表(Ⅳ 表-10.5.2・10.5.3)を用います。引抜き抵抗力と軸方向ばね定数も同じ地層から求め、変位の制限と限界状態1で、押込み・引抜き・杭頭の水平変位を照査します。
  • 水平方向地盤反力係数は、設計上の地盤面から1/βの深さまでの変形係数の平均から求め、βと収束させます(Ⅳ 10.6)。杭の中心間隔が杭径の2.5倍より狭いときは群杭の補正を、杭頭の水平変位が杭径の1%を超えるときは変位による補正を見込みます。
  • 杭体は、杭頭と地中部の最大曲げモーメントの深さで照査します。場所打ち杭は円形の鉄筋コンクリート断面の曲げとせん断、鋼管杭は腐食しろを除いた断面の応力度です。鋼管杭の杭頭は、中詰め補強鉄筋でフーチングに結合する方法として、仮想鉄筋コンクリート断面で照査します(Ⅳ 10.8)。
  • 杭基礎で、液状化が生じる土層を有する地盤上の橋台など、レベル2地震動の照査が要るときは、水平震度を0から上げていく押し切りで、杭基礎が降伏する水平震度を求めます(Ⅳ 10.9)。杭体の曲げモーメント−曲率の関係と、地盤の水平抵抗・杭の軸方向の上限値を考えます。
  • 杭基礎の降伏は、全ての列の杭体が降伏するか、1つの列の杭頭反力が押込みの上限値に達するときとします。降伏の水平震度がレベル2地震動の設計水平震度を下回るときは、エネルギー一定則で応答塑性率を求め、制限値3.0と比べます(Ⅴ 11.4)。
  • 応答の状態では、杭体のせん断、杭とフーチングの接合部、フーチング(杭頭の水平反力と曲げモーメントを含む)を照査します。軸方向鉄筋がSD390・SD490の場所打ち杭は、塑性化させないものとして照査します。液状化が生じる層は、地層ごとに入れた低減係数DEで地盤の抵抗を下げます(Ⅴ 7.3)。
  • たて壁は基部を固定端とする片持ばりとし、自重・上部構造の反力・土圧・慣性力を考えます。パラペットは、踏掛版がないときは背面の土圧とT荷重による土圧で、踏掛版があるときは踏掛版の反力による前面引張りと、レベル1地震動の背面引張りで照査します(Ⅳ 7.4.4)。
  • フーチングは、たて壁の前面・背面を固定端とする片持ばりとし、地盤反力(杭基礎は杭頭の鉛直反力)・自重・上載土・仮想背面の土圧の鉛直成分を考えます。せん断はたて壁の面からフーチング厚の1/2の断面で照査し、せん断スパンが有効高の2.5倍以下のときは割増し係数を見込みます(Ⅳ 7.7.4)。
  • ウィングは慣用法による片持ばりとして、踏掛版は版長の70%を支間とする単純ばりとして断面力を求めます。各部材は、限界状態1・限界状態3の曲げ、せん断、ウェブの圧壊、耐久性能(鉄筋の引張応力度)と、最小・最大鉄筋量を照査します。
  • 橋座部は、支承縁端距離に加えて、レベル2地震動で支承から作用する水平力に対する耐力を、コンクリートの負担分と補強鉄筋の負担分の和として照査します(Ⅳ 7.6)。

入力と出力

入力: 地域区分・地盤種別・設計水平震度の取り方、躯体の形状(橋台高・フーチング・たて壁・パラペット・橋台の幅)、背面土、基礎の形式と支持地盤、杭(種類・工法・寸法・配置・材料と配筋)と地層、上部構造の反力と支承の条件、橋座部、踏掛版、ウィング、材料、配筋。

出力: 組合せごとの基礎底面の鉛直力・水平力・モーメントと安定の照査(杭基礎は杭頭反力・杭頭の変位・杭体と接合部の照査)、レベル2地震動の押し切りの結果、各部材の断面力と限界状態の照査、構造細目、橋座部の照査。計算過程つきの帳票(計算書)を出力することができます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 直接基礎・杭基礎の逆T式橋台を、橋軸方向の断面で照査します。斜め橋台・橋軸直角方向の照査、橋台部ジョイントレス構造は対象外です。杭はすべて鉛直とし、杭頭はフーチングに剛結とします。
  • 直接基礎の橋台は、レベル1地震動の照査を満たせばレベル2地震動の照査も満たすとみなすことができます(Ⅴ 11.2)。ただし、液状化が生じる土層を有する地盤上の橋台と、レベル2地震動で荷重の支持条件が変わる橋台は除きます。この条件の直接基礎の橋台は対象外です。
  • 躯体に働く浮力・揚圧力、根入れ部分の前面の水平抵抗、突起は考慮しません。背面は水平な盛土とし、側方移動のおそれがある軟弱地盤上の橋台は別途検討してください。液状化の判定は行わないので、低減係数DEは設計者が求めて入れてください。
  • 杭基礎のレベル2地震動の押し切りは、単調に増える荷重の全量を割線の剛性で解きます。応答の状態の変位が大きすぎて求められないときは、照査を満たさないものとして扱います。躯体のせん断補強鉄筋は見込みません。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路橋示方書・同解説(平成29年11月、日本道路協会): Ⅰ共通編 3.3(作用の組合せ・荷重係数)・8.7(土圧)、Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編 5.2(鉄筋の定着)・5.5・5.8(限界状態1・3)・6.2(耐久性能)、Ⅳ下部構造編 5.2(部材の照査)・7.4〜7.7(橋台・橋座部・フーチング)・8.2・8.5(地盤反力係数)・9章(直接基礎)・10章(杭基礎)・参考資料4(踏掛版)・参考資料6(杭の変位法)、Ⅴ耐震設計編 3.4・4.1・4.2(地域別補正係数・設計水平震度・地震時土圧)・6.2(鉄筋コンクリート部材の曲げモーメント−曲率の関係)・7.3(土質定数の低減)・11.2〜11.4(橋台)。

直接基礎の支持力係数は図-9.5.1を式で表したもので計算するため、図から読み取る値とは数%異なることがあります。最小かぶり・配力鉄筋などの構造細目と、背面アプローチ部の設計は、設計者が示方書に照らして別途確認してください。