重力式橋台の設計|道路橋示方書(平成29年)・直接基礎

v1.0.3 最終更新日: 2026-10-20

インストール不要で使える無料の重力式橋台の設計計算用フリーソフトです。道路橋示方書(平成29年)の部分係数設計法で、直接基礎の安定と、パラペット・ウィング・踏掛版の限界状態の照査を行うことができます。

このツールで検討できること
  • 直接基礎の重力式橋台について、橋台の全幅で基礎の安定(変位の制限・鉛直支持・滑動・転倒)を照査します。上部構造の反力は橋台1基の全幅の値を入れます。
  • パラペット・ウィング・踏掛版について、1mあたりの断面で限界状態1・3の曲げとせん断、耐久性能、最小・最大鉄筋量を照査します。支承縁端距離も照査します。
  • 永続作用・変動作用(レベル1地震動を含む)の作用の組合せで照査します。背面が傾いた躯体の地震時土圧は、道路橋示方書Ⅴの修正物部・岡部法の手順で求めます。躯体の設計水平震度は、地盤面の値と同じ値・固有周期から求める値・直接入力から選ぶことができます。
対象外・注意が必要な条件
  • 躯体(無筋コンクリート)の応力度は照査しません。道路橋示方書(平成29年)の下部構造編の橋台の規定は、主として鉄筋コンクリート構造の橋台を対象にしているためです。
  • 杭基礎などの深い基礎と、レベル2地震動の照査は行いません。液状化が生じる土層を有する地盤上の橋台など、レベル2地震動の照査が要る橋台は対象外です。
  • 照査は橋軸方向の断面だけです。斜め橋台・橋軸直角方向の照査、地下水位・浮力、前面の水平抵抗、突起は考慮しません。
  • 支持力係数は道路橋示方書の図を式で表したもので計算します。最小かぶり・配力鉄筋・定着などの構造細目の一部と、橋座部の耐力は照査しません。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

平成29年の道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)で照査します。

道示Ⅴ 表-3.4.1 の地域区分です。架橋地点が境界線上にあるときは、係数の大きい方を選んでください。

道示Ⅴ 3.6 の地盤種別です(地盤の基本固有周期 TG が 0.2 秒未満はⅠ種、0.6 秒未満はⅡ種、それ以上はⅢ種)。地盤面の設計水平震度 khg(0.16・0.20・0.24 に地域別補正係数を掛けた値)を決めます。

地震時土圧には、常に地盤面の設計水平震度 khg を使います(道示Ⅴ 4.1.6(6))。躯体と上部構造の慣性力は、固有周期から求める kh(表-4.1.1)が原則で、短い周期の側の下限は khg と同じ値です。

橋台と上部構造の設計振動単位の固有周期です。道示Ⅴ 表-4.1.1 の標準値 kh0 に地域別補正係数を掛け、小数2桁に四捨五入します(0.10 を下回るときは 0.10)。

躯体と上部構造の慣性力に用いる設計水平震度をそのまま入れます。

液状化が生じる土層を有する地盤の上の橋台と、レベル2地震動で荷重の支持条件が変わる橋台は、レベル2地震動の照査が要ります(道示Ⅴ 11.2)。このアプリはレベル1地震動までを照査するので、当たるときは総合判定に「対象外」と出します。

2. 躯体の形状

底面からパラペットの天端(背面の路面の高さ)までです。背面土はこの高さまで水平に盛られているとします。

橋座面(支承を置く面)からパラペットの天端までです。

パラペットの天端での厚さです。パラペットの背面は躯体の背面と同じ勾配で、基部では「天端の厚さ+背面の勾配×パラペット高」の厚さになります。

躯体の前面の上端からパラペットの前面までの、橋座の橋軸方向の幅です。

躯体の前面の勾配です(高さ1に対する水平の長さ。鉛直なら 0)。前趾の上面から橋座面までに付けます。

躯体の背面の勾配です(高さ1に対する水平の長さ)。背面はパラペットの天端から底面まで1本の面とし、土圧はこの面に作用させます(道示Ⅰ 8.7)。底面の幅は、この勾配と天端の位置から決まります。

底面の前端から躯体の前面の下端までの、前趾の長さです。

前趾の高さ(底面から前趾の上面まで)です。側壁タイプのウィングは、前趾の上面の高さから天端までとします。

橋台の橋軸直角方向の幅です。基礎の安定はこの幅の全体で、部材は1mあたりで照査します。

前趾の上にある土の厚さです。安定計算の鉛直力に入れ(単位体積重量は γ2)、慣性力は入れません。

3. 背面土

盛土の目安は、砂及び砂れき 20、砂質土 19、粘性土 18 kN/m3 です(道示Ⅰ 表-解8.7.2)。舗装も背面土と同じ材料として扱います。

常時の主働土圧係数(クーロンの式)と壁面摩擦角(φ/3)に使います。

地震時土圧係数を求めるときの、背面土のピーク強度時・残留強度時のせん断抵抗角を選びます(道示Ⅴ 表-解4.2.1:砂及び砂れき 50度・35度、砂質土 45度・30度)。

自動車・群集の影響は 10 kN/m2 で見込んでよいとされています(道示Ⅰ 8.7)。活荷重を含む組合せの土圧に入れます。

4. 支持地盤

鉛直地盤反力度の制限値(表-9.5.1・9.5.2)と、極限支持力の地盤の種類の係数(砂・砂れき 1.00、粘性土 0.55)を決めます。岩盤は極限支持力を求めず、地盤反力度で照査します(表-9.5.5)。

極限支持力(式(9.5.5))と、底面を支持地盤と一体にしたときの付着力に使います。

支持力係数 Nc・Nq・Nγ(図-9.5.1 を式で表したもの)と、基礎底面の摩擦角に使います。

基礎の底面より下の支持地盤です。地下水位より下は水中単位体積重量を入れてください。

基礎の底面より上の根入れ部分の地盤です。上載荷重 q=γ2・Df と前趾の上の土の重量に使います。

上載荷重として見込む根入れ深さです(前面の地表面から底面まで。洗掘などで失われるおそれのある部分は除きます)。

支持層(同程度の良質な層)に根入れした深さです。極限支持力の割増し κ=1+0.3 Df′/B に使います。

基礎底面と地盤の摩擦角を決めます(道示Ⅳ 表-9.5.7)。コンクリートを直接打つときは土で 2φ/3、岩で tanφB=0.6、栗石・砕石を敷くときは tanφB=0.6 と φ の小さい方、支持地盤と一体のときは φ と付着力 c です。

5. 上部構造と橋座部

橋台1基が受ける上部構造の死荷重反力の合計(全幅)です。

上部構造に L 荷重を載せたときの橋台1基の反力の合計(全幅、衝撃を含めない)です。支間長が短い(おおむね15m以下)ときは、T 荷重による反力の方が大きいことがあります。

橋座の前端(躯体の前面の上端)から支承の中心までの水平距離です。橋座の幅より小さくしてください。

固定(弾性支承を含む)は、上部構造の重量 WU に設計水平震度を掛けた慣性力を、可動は支承の静摩擦力(μ×死荷重反力)を、レベル1地震動の水平力として支承の底面に作用させます(道示Ⅴ 4.1.1・4.1.3)。

この橋台が橋軸方向の慣性力を受け持つ上部構造の重量です。単純桁の固定側は、可動側の支点が受け持たない分を含めた上部構造の全重量になります。

可動支承の静摩擦係数です。支承の形式に合わせて入れてください。

温度変化などで支承から橋台へ伝わる水平力(特性値)です。0 のときは、温度変化の影響を含む組合せ(③⑤⑨)を省きます。

橋座部の支承縁端距離の照査(S ≧ 0.2+0.005l)に使います。

支承(下沓)の縁端から橋座の前面の縁端までの距離です。

6. パラペットと踏掛版

踏掛版を置くときは、パラペットの照査が踏掛版の反力と慣性力の形になり(道示Ⅳ 式(解7.4.7)(解7.4.8))、踏掛版そのものも照査します(参考資料4)。

踏掛版の長さです。支間は長さの70%として単純ばりで計算します。

踏掛版の厚さです(単位体積重量は γc)。

踏掛版の上の舗装の厚さです(単位体積重量 22.5 kN/m3)。T 荷重を分布させる幅(0.2+2d)にも使います。

パラペットの背面から踏掛版を受ける受台の先端までです。踏掛版の反力は受台の幅の中央に作用するとします。

受台の高さです。パラペットの照査の慣性力に、受台の重量を入れます。

踏掛版の下側の引張鉄筋です(間隔は 150mm が標準)。

引張鉄筋の中心間隔です。

踏掛版の下面から引張鉄筋の中心までです(かぶりは 70mm 以上が標準)。

7. ウィング

ウィングを慣用法で照査します(道示Ⅳ 7.4.5)。

側壁タイプは躯体と底版に固定された2辺固定版、パラレルタイプは躯体・パラペットに固定された片持版として計算します。

躯体の背面からウィングの先端までの長さです。側壁タイプの高さは、前趾の上面の高さから天端までとします。8m 以上は2辺固定版として解析することが望ましいとされています。

パラレルタイプの、躯体・パラペットに固定される付け根の高さ(天端から下端まで)です。

パラレルタイプの先端の高さです。付け根から先端まで下端が直線で上がるとします。

ウィングの厚さです。

踏掛版なし・歩道等なし・角度が90度未満の側壁タイプは、静止土圧(K0=0.5)で設計します(道示Ⅳ 7.4.5 の解説)。

歩道のほか、通常は自動車荷重が載らない路肩なども含みます。幅がおおむね1m未満なら「なし」です。

土に接する内側の水平鉄筋です。躯体で支える片持ばりの部分(A・B)を受け持ちます。

水平鉄筋の中心間隔です。

土に接する内側の鉛直鉄筋です。底版で支える片持ばりの部分(C)を受け持ちます。

鉛直鉄筋の中心間隔です。

ウィングの内側の表面から主鉄筋の中心までです。

8. 材料と配筋

躯体の無筋コンクリートの単位体積重量です。道示Ⅰ 表-8.1.1 のコンクリートは 23.0 kN/m3 です。

パラペット・受台・ウィング・踏掛版の鉄筋コンクリートの単位体積重量です。道示Ⅰ 表-8.1.1 では 24.5 kN/m3 です。

パラペット・ウィング・踏掛版の照査に使います。ヤング係数・コンクリートが負担できるせん断応力度などを、道示Ⅲの表からこの値で決めます。

降伏強度の特性値(345・390・490 N/mm2、道示Ⅲ 表-4.1.1)を使います。

背面の土圧と輪荷重で引張りになる側の鉛直鉄筋です。

中心間隔です。乾燥収縮・温度のひび割れに対して 300mm 以下にします。

踏掛版の反力で引張りになる側の鉛直鉄筋です。

中心間隔です。

表面から主鉄筋の中心までの距離です(配力鉄筋は外側に配置します)。最小かぶり(土中 70mm、道示Ⅳ 表-5.2.1)は配力鉄筋を含む外側の鉄筋で確保してください。

リアルタイムプレビュー

計算方法と適用範囲

計算式・適用範囲・使用基準と参考文献

このツールで計算できること

直接基礎の無筋コンクリートの重力式橋台について、平成29年道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)による設計計算を行います。基礎の安定は橋台の全幅を1体として計算し、パラペット・ウィング・踏掛版の部材は1mあたりの断面で照査します。

計算方法・使用式

  • 作用の組合せは、道路橋示方書Ⅰの表-3.3.1から、橋台で効く①D・②D+L・③D+TH・⑤D+L+TH・⑨D+TH+EQ・⑩D+EQ(レベル1地震動)を用います。温度変化などの水平力を入れないときは、③・⑤・⑨を省きます。
  • 基礎の変位の制限には、これとは別に、従来の常時に当たる1.00(D+L+E)の組合せも用います(Ⅳ 8.2)。土圧は、土の重量と地表載荷荷重から係数を掛けずに求め、そのうえで土圧の荷重組合せ係数・荷重係数を掛けます。
  • 重力式橋台の土圧は、安定計算でも壁の断面計算でも、躯体コンクリートの背面に直接作用させます(Ⅰ 8.7)。背面はパラペットの天端から底面のかかとまで1本の傾いた面とし、常時はクーロンの主働土圧係数(壁面摩擦角はφ/3)を用います。
  • 地震時主働土圧係数の近似式(Ⅴ 式(4.2.2))は、背面が鉛直で地表面が水平の形を仮定して導かれています。背面が傾いた重力式橋台では、Ⅴ 4.2の解説に示された修正物部・岡部法の手順で地震時主働土圧係数を求めます(壁面摩擦角は0)。
  • 地震時土圧には、地盤面の設計水平震度khgを用います。躯体と上部構造の慣性力の設計水平震度は、khgと同じ値・固有周期から求める値・直接入力から選ぶことができます。上部構造の慣性力は支承の底面に作用させ、可動支承では支承の静摩擦力とします。
  • 基礎の安定では、変位の制限として鉛直地盤反力度・せん断地盤反力・鉛直力の作用位置(底面幅の1/6以内)を照査します。鉛直支持は、荷重の傾斜と偏心を考慮した合力Frが、極限支持力の0.65倍に係数を掛けた制限値を超えないことを照査します(Ⅳ 9.5.2)。
  • 極限支持力は、形状係数・寸法効果・根入れの効果を考慮した支持力の式で求め、支持力係数は図-9.5.1を式で表したもので計算します。滑動は底面のせん断抵抗力、転倒は鉛直力の作用位置(底面幅の1/3以内)で照査します。岩盤では鉛直地盤反力度で照査します。
  • パラペットは、躯体との接合部を固定端とする片持ばりとします。踏掛版がないときは背面の土圧とT荷重による土圧で、踏掛版があるときは踏掛版の反力による前面引張りと、レベル1地震動の背面引張りで照査します(Ⅳ 7.4.4)。
  • パラペットの背面は躯体と同じ勾配で傾くため、土圧の係数に背面の傾きを入れ、照査する断面の厚さはパラペットの基部の厚さとします。
  • ウィングは慣用法による片持ばりとして、踏掛版は版長の70%を支間とする単純ばりとして断面力を求めます。各部材は、限界状態1・限界状態3の曲げ、せん断、ウェブの圧壊、耐久性能(鉄筋の引張応力度)と、最小・最大鉄筋量を照査します。
  • 躯体(無筋コンクリート)の応力度は照査しません。道路橋示方書(平成29年)の下部構造編の橋台の規定は、主として鉄筋コンクリート構造の橋台を対象にしているためです。

入力と出力

入力: 地域区分・地盤種別・設計水平震度の取り方、躯体の形状(橋台高・パラペット・橋座の幅・前面と背面の勾配・前趾・橋台の幅)、背面土、支持地盤、上部構造の反力と支承の条件、橋座部、踏掛版、ウィング、材料、配筋。

出力: 組合せごとの基礎底面の鉛直力・水平力・モーメント・偏心量・地盤反力度と安定の照査、各部材の断面力と限界状態の照査、構造細目、支承縁端距離の照査。計算過程つきの帳票(計算書)を出力することができます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 直接基礎の重力式橋台を、橋軸方向の断面で照査します。杭基礎などの深い基礎と、斜め橋台・橋軸直角方向の照査は対象外です。
  • レベル2地震動の照査は行いません。直接基礎の橋台は、レベル1地震動の照査を満たせばレベル2地震動の照査も満たすとみなすことができます(Ⅴ 11.2)。ただし、液状化が生じる土層を有する地盤上の橋台と、レベル2地震動で荷重の支持条件が変わる橋台は除きます。
  • 地下水位・浮力・揚圧力、根入れ部分の前面の水平抵抗、突起は考慮しません。背面は水平な盛土とし、側方移動のおそれがある軟弱地盤上の橋台は別途検討してください。
  • 橋座部は支承縁端距離だけを照査し、支承部から作用する水平力に対する耐力(レベル2地震動の水平力を用いる)は照査しません。せん断補強鉄筋は見込みません。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路橋示方書・同解説(平成29年11月、日本道路協会): Ⅰ共通編 3.3(作用の組合せ・荷重係数)・8.1(単位体積重量)・8.7(土圧)、Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編 5.5・5.8(限界状態1・3)・6.2(耐久性能)、Ⅳ下部構造編 5.2(部材の照査)・7.1・7.4〜7.6(橋台・橋座部)・8.2・9章(直接基礎)・参考資料4(踏掛版)、Ⅴ耐震設計編 3.4・4.1・4.2・11.2(地域別補正係数・設計水平震度・地震時土圧・橋台)。

支持力係数は図-9.5.1を式で表したもので計算するため、図から読み取る値とは数%異なることがあります。最小かぶり・配力鉄筋・鉄筋の定着などの構造細目と、背面アプローチ部の設計は、設計者が示方書に照らして別途確認してください。