L型擁壁の一括計算|擁壁高ごとにまとめて安定計算・構造計算

v1.6.4 最終更新日: 2026-10-01

インストール不要で使える無料のL型擁壁の一括計算用フリーソフトです。擁壁高の異なるL型擁壁を表に並べて、まとめて計算します(延長1mあたり)。計算の中身は「L型擁壁の安定計算・構造計算」と同じで、1タイプずつ計算した場合と同じ結果になります。

このツールで検討できること
  • 擁壁高・天端幅・底版厚・基礎幅・配筋を擁壁ごとに入力し、まとめて計算します。
  • 設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・かぶり・許容値は、表の外で全体に共通して設定します(設計基準・検討ケースを選ぶと、単体ツールと同じ許容安全率・許容応力度・設計水平震度の参考値が入ります)。
  • 転倒・滑動の安定計算(道路土工 擁壁工指針では転倒を偏心量で照査します)と、竪壁・底版の部材計算のOK・NGを表の中で判定します。入力を変えるたびに計算し直すため、計算を始めるボタンはありません。
  • 計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力できます(擁壁高を各計算書の表題にします)。
対象外・注意が必要な条件
  • 一度に計算できるのは20タイプまでです。表の中では基準・条件を混在させられないため、異なる設計基準や検討ケースで比べる場合は、条件ごとに計算してください。
  • 配筋(鉄筋径・ピッチ)の自動計算は行いません。表の列で直接入力してください(基礎幅の自動計算には対応します)。
  • 支持力は必要地耐力の表示(既定)か、入力した許容支持力度との比較を選ぶことができます(許容支持力度そのものは求めません)。背面盛土・基礎地盤を含む全体としての安定と、構造細目(最小鉄筋量・かぶり・鉄筋間隔など)は照査しません。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

共通条件 表のすべての擁壁に同じ値が使われます
基本条件
基礎幅の決め方
材料
荷重条件
配筋のかぶり
許容値

擁壁一覧

3 / 最大20タイプ

寸法記号の意味

No H1 m T1 m H2 m B m 形状の詳細 テーパー・背面 竪壁主鉄筋径 竪壁ピッチ mm 底版主鉄筋径 底版ピッチ mm 安定 部材 qmax kN/m2 判定
1
2
3

判定の「詳細」を押すと、その擁壁の照査値と許容値を確認できます。一括帳票は、擁壁のタイプ数ぶんの計算書を1つにまとめて別のタブで開きます(各計算書の表題は「L型擁壁 H=○○m」になります)。1タイプずつの計算書は、計算結果の詳細からも出力できます。

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

擁壁高の異なるL型擁壁を表に並べ、同一の設計基準・土質・荷重条件のもとでまとめて計算します。擁壁ごとに、土圧の算定、転倒・滑動の安定計算、合力の作用位置(偏心量)と地盤反力度の算定、竪壁基部・底版(かかと版)の許容応力度法による部材(断面)計算を行い、OK・NGを表の中で判定します。

計算そのものは「L型擁壁の安定計算・構造計算」と同じソルバーで行うため、1タイプずつ計算した場合とまったく同じ結果になります。

計算方法・使用式

  • 計算の進め方: 表の1行ごとに「共通条件(表の外で設定した設計基準・土質・荷重・材料・かぶり・許容値)」と「その行の値(擁壁高・天端幅・底版厚・基礎幅・配筋と、形状の詳細に入力したテーパー・背面形状)」を1件分の入力に組み立て、単体ツールと同じ計算を行います。行どうしが計算に影響することはありません。
  • 土圧・安定計算・部材計算の考え方は単体ツールと同じです(試行くさび法または土圧係数法、盛土等防災マニュアルの解説では安全率、道路土工 擁壁工指針では偏心量による転倒照査、許容応力度法による単鉄筋長方形断面の部材計算)。地震時の荷重の組合せ、支持力の扱い、かぶりの取り方も単体ツールと同じです。詳しくは「L型擁壁の安定計算・構造計算」の技術解説を参照してください。
  • 既定値の自動入力: 設計基準を選ぶと、許容安全率・コンクリートの単位体積重量・許容応力度を、単体ツールと同じ参考値に入れ替えます。地震時の検討ケースを選ぶと設計水平震度を、コンクリートの圧縮強度・鉄筋材を変えると許容応力度を入れ替えます。許容応力度の欄を手で書き換えた場合は、以後は入れ替えません。土質定数(γ・φ・Ka・μ)は変わりません。
  • 表の判定: 「安定」は転倒・滑動の照査をまとめたものです。道路土工 擁壁工指針では転倒を偏心量で照査し、「転倒」として表示します。支持力の扱いで「入力した許容支持力度と比較する」を選んだときは、支持の照査も「安定」に加わります。

    盛土等防災マニュアルの解説の常時で「転倒の照査」を「安全率+偏心量で照査」にしたときは「偏心」(|e|≦B/6)が、中地震時で同じ選択をしたときは「偏心」(|e|≦B/3)だけが、合力の作用位置が底面中央の2/3の範囲の外にあるときは(支持力を比較しない設定でも)「合力位置」(NG)が加わります。

    「部材」は竪壁・底版それぞれのコンクリート圧縮σc・せん断τ・鉄筋引張σsの照査をまとめたもので、3つの照査をすべて満たしたときにOKとします。右端の「判定」は、安定・部材のすべての照査を満たしたときだけOKになります。盛土等防災マニュアルの解説の大地震時は、部材の照査を「(参考)」として表示し、判定には含めません。

  • 基礎幅の自動計算: 共通条件で「自動計算」を選ぶと、擁壁ごとに、安定計算(転倒・滑動。支持力を比較するときは支持も)を満たし、合力が底面中央の2/3の範囲にある最小の基礎幅を、指定したピッチ刻みで探して採用します。道路土工 擁壁工指針では転倒を偏心量で照査するので、偏心量も条件に入ります。目標地耐力を設定した場合は、最大地盤反力度qmaxがその値以下になることも条件に加わります。

    盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は転倒・滑動の安全率を照査しないため、合力の範囲と目標地耐力だけで決まります(「安全率+偏心量で照査」を選んだときの偏心量 |e|≦B/3 は、合力の範囲の条件と同じです)。擁壁高が変われば必要な基礎幅も変わるため、表の基礎幅の列には擁壁ごとに決まった幅が入ります。条件を満たす幅が見つからない擁壁は、最大まで広げた幅で計算し、基礎幅の欄に色を付けて表の下にその旨を表示します(判定には含めません)。

  • qmaxの列: 最大地盤反力度です。既定では必要地耐力として表示するだけで、許容支持力度とは比べません。「入力した許容支持力度と比較する」を選ぶと、入力した地盤の許容支持力度(地耐力)と比べた結果が「安定」の列に「支持」として加わります。

    許容支持力度は検討ケースに応じた値を入力してください(盛土等防災マニュアルの解説では常時は長期許容支持力度、大地震時は極限支持力度と比べます)。合力が底面中央の2/3の範囲の外にあるときは地盤反力度の式が成り立たないため、数値を出さずに「算定範囲外」と表示します。

入力と出力

入力(共通条件・表の外): 準拠する設計基準・土圧の算定方法・土圧作用位置・検討ケース・設計水平震度kh、基礎幅の決め方(直接入力/自動計算と、自動計算のときの目標地耐力・調整ピッチ)、土質条件(γ・φ・土圧係数Ka)、上載荷重q、底版と地盤の摩擦係数μ、コンクリート強度・鉄筋材・透水マット、かぶり(芯かぶり/純かぶり。既定は芯かぶり)、許容安全率・許容応力度(設計基準の選択に応じて既定値を自動入力)、支持力の扱い(必要地耐力のみ表示/入力した許容支持力度と比較)と地盤の許容支持力度。

入力(擁壁ごと・表の中): 擁壁高H1・天端幅T1・底版厚H2・基礎幅B、竪壁背面主鉄筋と底版上側主鉄筋の径・ピッチ。「形状の詳細」から、底版テーパー・前面テーパー・背面テーパー・背面ハンチ高f1と、背面の法担ぎ(法までの距離・法高・法幅)・擁壁天端からの下がりを擁壁ごとに設定します。

出力: 擁壁ごとの安定・部材の判定と最大地盤反力度qmax(必要地耐力)、総合判定。判定の「詳細」から、その擁壁の照査値と許容値(安全率・偏心量・σc・τ・σs)を確認できます。計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力でき(各計算書の表題は「L型擁壁 H=○○m」)、1タイプずつの計算書や単体ツールでも開き直せます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 表の中では、設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・かぶり・許容値を混在させられません。これらは表の外で全体に共通して設定します。異なる条件で比べる場合は、条件ごとに計算してください。
  • 一度に計算できるのは20タイプまでです。
  • 支持力は、既定では最大地盤反力度(必要地耐力)の表示までです。「入力した許容支持力度と比較する」を選んだときだけ、入力値と比べて照査します。許容支持力度そのものは求めないので、直接基礎の地耐力計算などで別途求めてください。盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は、支持力を照査しません。
  • 配筋(鉄筋径・ピッチ)の自動計算は行いません。表の列で直接入力してください(単体ツールでは自動計算を選ぶことができます)。
  • 擁壁ごとの断面形状・土質条件・計算上の仮定は単体ツールと同じです(つま先版のないL型断面、背面土は単一土層・水位なしの盛土部として扱い切土面が近い場合の土圧は扱わない、滑動照査で受働抵抗を見込まない、かかと版は上側引張を仮定、背面ハンチは自重に計上するがハンチ自体の断面計算は行わない)。

    かかと版の張出しが短く竪壁が近い場合は、仮想背面の壁面摩擦角を別途検討する必要があります(擁壁工指針 5-2-4(1))。

  • 背面盛土と基礎地盤を含む全体としての安定(すべり破壊・圧密沈下・液状化など)と、構造細目(最小鉄筋量・最大鉄筋量・かぶり・鉄筋間隔・配力鉄筋・部材の最小厚など)は照査しません。
  • 盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は安定照査を行わないため、「安定」の列は「—」になります(「転倒の照査」を「安全率+偏心量で照査」にしたときは「偏心」だけが入ります)。大地震時の部材照査は終局耐力によるため対象外で、参考として常時の許容応力度による結果を「(参考)」として表示し、判定には含めません。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 盛土等防災マニュアルの解説〔Ⅰ〕[第二次改訂版](令和5年11月): 照査項目と安全率(表Ⅷ・3-8)、地震時荷重(Ⅷ・3・2・1 1(1)イ(エ))、土圧の作用面と壁面摩擦角(Ⅷ・3・2・1 解説1(2)、図Ⅷ・3-6・図Ⅷ・3-7)、地震時土圧と壁面摩擦角(Ⅷ・3・2・2 4)、地震時慣性力(Ⅷ・3・2・2 8)、許容応力度(建築基準法施行令第90条・第91条による)。 Amazonで見る
  • 道路土工-擁壁工指針(平成24年度版、日本道路協会): 荷重の組合せ(4-2-1(2))、載荷重(4-2-3)、地震の影響(4-2-6)、許容応力度と割増し係数(表4-2〜表4-5、表4-10)、試行くさび法と地震時土圧(5-2-4(2)(5)、式(解5-8)(解5-9))、土圧の作用面(5-2-4(1))、壁面摩擦角と仮想のり面傾斜角β′(解表5-2、解図5-5)、転倒・滑動の照査(5-3-2)、片持ばり式擁壁の部材の荷重と照査断面(5-7-5(3)、解図5-40・解図5-46〜解図5-48、式(解5-37))。 Amazonで見る
  • 建築基準法施行令 第90条・第91条、平成12年建設省告示第1450号: 盛土等防災マニュアルの解説を選んだ場合の許容応力度。 Amazonで見る

設計水平震度・許容安全率・許容応力度・土質定数は参考の既定値を入力していますが、適用する事業・地域・地盤条件により異なります。設計基準と検討ケースの選択で自動入力が変わるのは、許容安全率・コンクリートの単位体積重量・許容応力度・設計水平震度で、土質定数(γ・φ・Ka・μ)は変わりません。

まとめて計算する場合も、採用値の妥当性、支持地盤の許容支持力度、根入れ深さ、排水工、地下水位の影響、背面土の締固めは、擁壁ごとに設計者が別途確認してください。

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