杭基礎の支持力計算|道路橋示方書・建築基準の両方に対応

v2.0.5 最終更新日: 2026-10-01

インストール不要で使える無料の道路橋示方書・建築基準(告示第1113号)の両方に対応した杭基礎の支持力計算用フリーソフトです。多層地盤の層データから、杭の鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・沈下量・水平抵抗(Chang式)を検討します。

このツールで検討できること
  • 杭1本あたりの鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・水平抵抗を検討し、杭頭の沈下量を参考として求めます。
  • 道路橋示方書(土木)と平成13年国土交通省告示第1113号(建築)を選べます。打込み杭・場所打ち杭・中掘り杭・プレボーリング杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭に対応します。建築基準の中掘り杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭は、大臣認定等の係数(告示 第6)を入力して計算します。
対象外・注意が必要な条件
  • 単杭1本あたりの計算です。群杭効果や、杭群としての基礎全体の設計(フーチング・杭配置・杭体断面の照査)は対象外です。
  • 負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)、杭体の断面照査(応力度・座屈)、液状化時の低減は扱いません。液状化のおそれの有無は液状化判定(簡便法)でご確認ください。
  • 支持力はN値(および粘性土のc)による推定式です(道路橋示方書の推定式は、岩盤に支持させる杭を対象としていません)。道路橋示方書で載荷試験による値を使うときは、試験の極限支持力を入力します。
  • 道路橋示方書の先端支持力度は、杭先端を支持層に杭径程度以上(打込み杭は杭径の2倍程度以上)根入れした杭の載荷試験に基づく値です。杭先端付近のN値は、杭先端から杭径の3倍下方までの平均とします。
  • 道路橋示方書の先端支持力度の表は、杭径(外径)が打込み杭で1,500mm程度まで、中掘り杭で500〜1,000mm程度、プレボーリング杭で300〜1,000mm程度、鋼管ソイルセメント杭でソイルセメント柱径1,000〜1,500mm程度(鋼管径800〜1,300mm程度)、回転杭で鋼管径400〜1,200mmの範囲の杭に基づく値です。
  • 水平抵抗のChangの式は地盤を一様な弾性支承とみなす略算法です。多層地盤では変形係数の代表値の設定にご注意ください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

土木基準は道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月)10.5〜10.6、建築基準は平成13年国土交通省告示第1113号 第5(中掘り杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭は第6)に準じます。

道路橋示方書の杭工法区分です。中掘り杭工法の先端支持力度はセメントミルク噴出攪拌方式の値で、最終打撃方式では打込み杭工法を選択してください。

摩擦杭は先端支持力を見込まず、周面摩擦力のみで支持します。道路橋示方書では、摩擦杭基礎に使えるのは打込み杭・場所打ち杭・鋼管ソイルセメント杭工法です。

道路橋示方書では、摩擦杭基礎は0.70を標準とします。1.00にできるのは、支持杭基礎と同等の安全性を有する場合(著しい地盤沈下が生じず将来とも予想されない、杭の根入れ長が杭径の25倍(杭径1m以上は25m)程度以上、粘性土地盤では根入れ長の1/3以上が過圧密地盤に根入れされている、のすべてを満たす場合)です。抵抗係数はいずれも0.80です。

2. 杭の諸元

周長U=πDの算定に用います。鋼管ソイルセメント杭ではソイルセメント柱径を入力してください。

先端面積A=πDp²/4の算定に用います。拡底杭は拡底部の径、鋼管ソイルセメント杭はソイルセメント柱径、回転杭は羽根径を入力してください。

鋼管の断面(断面積・断面二次モーメント)を鋼管径と肉厚から求めます。杭径 D(ソイルセメント柱径)以下の値を入力してください。

杭の断面積・断面二次モーメント(弾性圧縮・水平抵抗)の算定に用います。

フーチング下面など、杭頭の位置を地表面からの深さで入力してください。周面摩擦力は杭頭深度から積算します(道路橋示方書の支持杭の押込みでは、杭先端から杭径の1倍(打込み杭は2倍)上方まで、回転杭は支持層の上面か杭先端から羽根径の上方までの浅い方で止めます)。

参考値: 鋼材 200 kN/mm2、PHC杭 40 kN/mm2、場所打ちコンクリート杭 25 kN/mm2程度。鋼管ソイルセメント杭は鋼管の値を入力してください。SC杭は鋼管とコンクリートを合わせた等価な値を入力してください。

杭の軸方向ばね定数の AE(式10.6.5)に用いるソイルセメントのヤング係数を 500qu として求めます。

杭の有効重量(杭体の断面×γp。地下水位以深は浮力を差し引きます)の算定に用います。押込みの W には、中空断面の杭内部と鋼管ソイルセメント杭のソイルセメントの部分を、周りの土の有効単位体積重量で加えます。

3. 設計荷重・検討項目

杭頭に作用する1本あたりの軸方向押込み力です(フーチング・上載土の重量を含めた値)。

道路橋示方書・告示には杭頭の沈下量の制限値が無いため、沈下量は参考として示し、総合判定には含めません。許容沈下量は設計者が定めた値を入力してください。

道路橋示方書では、「含む」とすると基礎の変位の制限(10.5.1。永続作用支配状況だけの照査)の押込み・引抜き・水平変位の照査を行いません。水平抵抗の地盤反力係数の換算係数 α は地震の影響を含む場合の値になります。

4. 地層条件

地表面から順に地層を入力します。周面摩擦力は杭頭深度から層ごとに積算します(道路橋示方書の支持杭の押込みでは、杭先端付近の周面摩擦は先端支持力に含まれるため、杭先端から杭径の1倍(打込み杭は2倍)上方まで、回転杭は支持層の上面までで止めます)。支持層(杭先端のある層)は1つの行で入力してください。回転杭の支持層の上面と支持層への根入れ長は、杭先端のある行の上端から求めます。液状化のおそれのある層や、負の周面摩擦力が想定される軟弱層は「周面摩擦力の考慮」を「考慮しない」としてください。

最大20層
層厚(m) 土質区分 N値 c(kN/m2) γt(kN/m3)湿潤 γsat(kN/m3)飽和 周面摩擦力
1
2
3
4
5

粘着力 c は粘性土層で用います。道路橋示方書ではcを入力した層はcから、入力していない層(c=0)はN値から最大周面摩擦力度を算定します(N値が5未満の軟弱層は、土質試験で粘着力を求めて入力するのがよいとされています)。建築基準ではcを入力していない粘性土層は周面摩擦力を見込みません(告示の一軸圧縮強度 qu は c の2倍として扱います)。

5. 支持層・地盤定数

地表面からの深さ(GL-m)で入力してください。水位以深は有効単位体積重量(γsat−9.81)で扱います。

道路橋示方書では先端支持力度 qd の算定に用い、杭先端から杭径の3倍下方までの範囲の平均値とします(岩盤は対象外)。建築基準では qp = α・N の算定に用います(N>60のとき60とします)。

地盤反力係数の換算係数 α(表-8.5.1)を決めます。杭先端の鉛直方向地盤反力係数には、地震の影響を含まない場合の値を用います。

杭頭付近(おおむね1/β の深さまで)の平均N値を入力してください。E0 = 2800N で変形係数に換算します。

地盤反力係数の換算係数 α(表-8.5.1)を決めます。

告示第1113号 第5 に定める値: 打撃工法 300、セメントミルク工法(埋込み杭)200、アースドリル等の場所打ち杭 150。中掘り杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭は、告示 第6 により載荷試験で定めた値(大臣認定等による値)を入力してください。

告示第1113号 第6 の式の砂質地盤の係数です(周面摩擦力度 β・N)。載荷試験で定めた値(大臣認定等による値)を入力してください。

告示第1113号 第6 の式の粘土質地盤の係数です(周面摩擦力度 γ・qu。qu は地層の粘着力 c の2倍)。載荷試験で定めた値(大臣認定等による値)を入力してください。

引抜きを検討するときに使います。告示第1113号 第6 二 の式の係数 κ・λ・μ は、引抜き試験で定めた値(大臣認定等による値)を入力してください。

砂質地盤の周面摩擦力度は 10N/3 で算定し、この値を上限とします(告示第1113号 第5 は N を30で頭打ちするので 100)。

粘土質地盤の周面摩擦力度は qu/2(=粘着力 c)で算定し、この値を上限とします(告示第1113号 第5 は qu を200で頭打ちするので 100)。c を入力していない粘性土層は周面摩擦力を見込みません。

6. 照査条件

推定式による場合は調査・解析係数 ξ1=0.90、載荷試験による場合は 0.95 とします。摩擦杭基礎は、載荷試験によっても推定式の係数(ξ1=0.90・ΦY=0.80)とします。

鉛直載荷試験から求めた極限支持力の特性値を入力してください。推定式の Ru の代わりに用います。載荷試験の値は、杭の自重を差し引いた残余支持力です。載荷試験の係数を使えるのは、地盤構成・N値・杭長と杭径・杭工法が試験と同じ場合です。

引抜きを検討するときに使います。引抜き試験(又は押込み試験で確認された周面摩擦力)から求めた極限引抜き抵抗力の特性値を入力してください。引抜き試験の値は、杭の自重を差し引いた値です。

道路橋示方書では標準値 1.00 とされています。

抵抗の限界状態1(10.5.6)の制限値(橋脚: dd=ξ1・ΦY・dy、dy=杭径の5%、橋台: 杭径の1%、いずれも15≦dd≦50mm)と、基礎の変位の制限(10.5.1)の制限値(橋脚: 杭径の1%で15〜50mm、橋台: 15mm)のうち小さい方を許容水平変位とします。作用の組合せに地震の影響を含むときは10.5.6の値だけとします。

建築基準(告示第1113号)には杭頭の水平変位の制限値が無いため、建築基準では設計者が定めた値を入力してください。

告示第1113号では長期は極限支持力の1/3、短期はその2倍(=2/3)とされています。引抜き(第5 の工法)は 4/5 を掛けた長期 4/15・短期 8/15 になります。

リアルタイムプレビュー(杭・地層断面図)

入力に応じて自動更新

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

杭基礎の1本あたりの鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・水平抵抗の検討を行い、杭頭の沈下量を参考として求めます。準拠基準として道路橋示方書(土木)と平成13年国土交通省告示第1113号(建築)を選択でき、打込み杭・場所打ち杭・中掘り杭・プレボーリング杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭の各工法に対応します。

計算方法・使用式

  • 土木基準(道路橋示方書Ⅳ下部構造編): 地盤の極限支持力 Ru = qd・A + U・ΣLi・fi(式10.5.4。qd・fiは杭工法・地盤種別ごとの特性値の表による)、押込みの制限値 Rd = ξ1・ΦY・λf・λn・(Ry−Ws) + Ws − W(式10.5.3)、変位の制限値 Rdp(λs=0.55。式10.5.1)、極限引抜き抵抗 Pu(式10.5.6。回転杭は羽根のアンカー効果を加算、式10.5.7)と引抜きの制限値 Pd(式10.5.5)・変位の制限値 Pdp(λp=0.25。式10.5.2)を照査します。

    変位の制限値(10.5.1)は永続作用支配状況の照査なので、作用の組合せに地震の影響を含むときは行いません。

  • 支持杭の押込みでは、杭先端付近の周面摩擦は先端支持力度 qd に含まれるため、杭先端から杭径の1倍(打込み杭は2倍、鋼管ソイルセメント杭はソイルセメント柱径の1倍)上方まで、回転杭は支持層の上面か杭先端から羽根外径の上方までの浅い方で周面摩擦力の積算を止めます。引抜きは杭先端まで積算します(回転杭は押込みと同じ範囲)。
  • 摩擦杭の支持形式の違いを考慮する係数 λf は0.70を標準とし、支持杭基礎と同等の安全性を有する場合は1.00を選べます。道路橋示方書で摩擦杭基礎に使えるのは、打込み杭・場所打ち杭・鋼管ソイルセメント杭工法です。
  • 建築基準(平成13年国土交通省告示第1113号): 打込み杭・セメントミルク工法による埋込み杭(プレボーリング杭)・場所打ち杭は第5 の式 Ru = α・N・Ap + (Σ(10/3)Ns・Ls + Σ(qu/2)・Lc)・ψ により、許容支持力を長期 Ra = Ru/3、短期 Ra = 2Ru/3、許容引抜き抵抗力を長期 (4/15)RF + wp、短期 (8/15)RF + wp とします。

    中掘り杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭は第6 の式により、載荷試験・引抜き試験で定めた係数 α・β・γ、κ・λ・μ(大臣認定等による値)を入力して求めます。

  • 周面摩擦: 粘性土はc(入力がある層)またはN値からの推定値、砂質土はN値から、工法ごとの上限値付きで層ごとに算定し積み上げます。
  • 沈下量(参考): 杭の軸方向ばね定数Kv(道路橋示方書 式10.6.3/10.6.6。鋼管ソイルセメント杭の AE は式10.6.5)により、杭頭荷重から杭頭沈下量を推定します。基準に制限値が無いため、許容沈下量との比較は総合判定に含めません。
  • 水平抵抗: Changの式(半無限長の弾性支承梁)により、水平地盤反力係数kH(k = λ・k0・(B′/0.3)^(-3/4)、k0 = α・E0/0.3)と特性値 β = (kH・D/(4EI))^(1/4) を用いて、杭頭の水平変位・地中部最大曲げモーメントを求め、許容変位(杭径の1%など)と比較します。

    水平変位が杭径の1%を超え、かつ15mmより大きいときは、式10.6.2 で kH を補正して収束計算します。杭頭剛結・ヒンジの両条件に対応します。

入力と出力

入力: 準拠基準・杭工法・支持形式(支持杭/摩擦杭)・検討ケース(長期/短期・地震の影響の有無)、杭の諸元(杭径・先端径・鋼管径・断面(中空/中実)・肉厚・杭長・杭頭深さ・ヤング係数・単位体積重量)、設計荷重(押込みNd・引抜きPt・水平Hd)、地層条件(最大20層。層厚・土質・N値・c・γ)、支持層の条件(先端N値・変形係数E0とその推定方法)、照査条件(ξ1・載荷試験の値・λn・許容変位・安全率)、建築基準の係数(α・β・γ・κ・λ・μ)。

出力: 押込み支持力(Ru・Rd・Rdpまたは長期/短期Ra)と設計荷重の比較、引抜き抵抗(Pu・Pd・Pdp または Pa)の照査、杭頭沈下量(参考)、水平抵抗(杭頭変位・最大曲げモーメント・その深さ)のOK/NG判定。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 単杭1本あたりの計算です。群杭効果・杭群としての基礎全体の設計(フーチング・杭配置・杭体断面の照査)は対象外です。
  • 支持力は標準貫入試験のN値(および粘性土のc)による推定式で算定します。道路橋示方書で載荷試験による値を使うときは、試験の極限支持力(杭の自重を差し引いた残余支持力)を入力します。載荷試験の係数を使えるのは、地盤構成・N値・杭長と杭径・杭工法が試験と同じ場合です。
  • 道路橋示方書の先端支持力度 qd の N値は、杭先端から杭径の3倍下方までの範囲の平均とします。表の値は、杭先端を支持層に杭径程度以上(打込み杭は杭径の2倍程度以上)根入れした杭の載荷試験に基づくもので、岩盤に支持させる杭は対象外です。
  • 道路橋示方書の先端支持力度の表の杭径(外径)の範囲は、打込み杭が1,500mm程度まで、中掘り杭(セメントミルク噴出攪拌方式)が500〜1,000mm程度、プレボーリング杭が300〜1,000mm程度、鋼管ソイルセメント杭がソイルセメント柱径1,000〜1,500mm程度・鋼管径800〜1,300mm程度、回転杭が鋼管径400〜1,200mmです。

    回転杭の支持層が砂・砂れき以外のときは、引抜きを含め載荷試験による検討が必要です。

  • 道路橋示方書では、N値が5未満の軟弱な粘性土は、土質試験で粘着力を求めて周面摩擦力度を推定するのがよいとされています(粘着力を入力しないとN値から推定します。予備設計等の段階では可能です)。
  • SC杭は杭工法の区分にありません。SC杭の軸方向ばね定数と曲げ剛性は、鋼管とコンクリートを合わせた等価なヤング係数を入力して扱ってください。
  • 水平抵抗のChangの式は、地盤を一様な弾性支承とみなす略算法です。多層地盤ではkH算定用の変形係数の代表値の設定に注意してください。
  • 負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)・杭体の断面照査(応力度・座屈)・液状化時の低減は対象外です。
  • 摩擦杭で軸方向ばね定数の推定式が道路橋示方書に規定されない工法は、沈下量を算定しません(その旨を結果に表示します)。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月、日本道路協会): 式10.5.1〜10.5.7(支持・引抜き)、表-10.5.1〜10.5.5(部分係数・qd・fiの特性値・許容水平変位)、式10.6.1〜10.6.7(β・kHの補正・Kv)、式8.5.2・8.5.3・表-8.5.1(地盤反力係数)。 Amazonで見る
  • 平成13年国土交通省告示第1113号 第5(建築基準選択時の支持力式・引抜きの式)、第6(中掘り杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭の係数を試験で定める式)。
  • Changの式(杭の水平抵抗)。

ξ1・λnなどの部分係数・安全率、許容変位、地盤定数(N値・c・E0)の代表性は設計条件により異なります。支持層の確認(層厚・連続性)、施工法に応じた先端処理、群杭・杭頭結合部の設計は、設計者が別途確認してください。

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