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【解説】地盤改良で石灰とセメントを使い分ける基準|固化材は土質・含水比・工期で選ぶ

「固化材に石灰とセメントのどちらを選べば良いのか分からない」

石灰もセメントも土を固める材料なので、どちらを選ぶか迷いますよね。

石灰系固化材とセメント系固化材は、土が固まる仕組みと強度が出る速さが異なります。

固化材の選定が土質に合わないと、配合どおりに混ぜても所定の強度が出ないおそれがあります。

そこでこの記事では、地盤改良で石灰系固化材とセメント系固化材を使い分ける基準を解説します。

この記事を読むことで、土質・含水比・工期・環境条件から固化材の候補を絞る方法が理解できるようになります。

結論から申しますと、砂質土や早期の強度が必要な現場ではセメント系、高含水比の粘性土では石灰系が有効です。

地盤改良での石灰とセメントの使い分けは土質・含水比・工期で決まる

地盤改良の固化材は一般に、砂質土にはセメント系が、粘性土には石灰系が有効です。

現場の条件固化材の候補理由
砂質土・礫質土セメント系固化材水和反応で短期に強度が出る
含水比の高い粘性土・火山灰質粘性土生石灰・石灰系固化材生石灰の吸水と発熱で含水比が下がる
腐植土・ヘドロなど有機物の多い土高有機質土用の固化材(セメント系・石灰系)有機物が固化の反応を妨げる
構造物の基礎など早期に高い強度が必要な現場セメント系固化材材齢7日で28日強度の約6〜8割が出る
重機の走行性の改善が主な目的の現場生石灰・石灰系固化材混ぜた直後から含水比が下がる
埋戻し後に再掘削・再利用する現場(工事用進入路等)石灰系固化材改良土が強固に固まらず、再掘削と再利用が容易

固化材を選ぶ流れは、次の4つの段階で整理することができます。

  1. 土質調査:改良する土の土質・含水比・有機物の量を調べる
  2. 目的の整理:必要な強度と確保できる養生期間を決める
  3. 候補の絞り込み:上の表をもとに固化材を2〜3種類に絞る
  4. 室内配合試験:固化材ごとに添加量と強度の関係を確かめる

石灰とセメントは土が固まる仕組みが異なる

セメント系固化材は水和反応で短時間で強度が発現する

セメント系固化材とは、セメントを母材にして、土を固めるための成分や粒度を調整した特殊なセメントのことです。(一般的な普通ポルトランドセメントとは異なるため注意が必要です)

セメント系固化材は、水と反応する水和反応によって、短期間で大きな強度を発現します。

また、改良土の強度は、ゆっくり進むポゾラン反応によって中長期にも伸び続けます。

ポゾラン反応とは、カルシウムが土中のシリカやアルミナと反応し、水に溶けにくい水和物をつくる反応のことです。

セメント系固化材は、砂質土で特に高い強度を出す固化材です。

一方、粘性土では、土の塊を細かく砕いて均一に混ぜること(撹拌)が難しく、混合の程度が改良の成否を左右します。

石灰は吸水・発熱とポゾラン反応の二段階で効く

石灰による改良の効果は、短期の脱水と土性の改良と、中長期のポゾラン反応による硬化の二段階です。

生石灰は、土中の水を取り込んで消石灰になります。生石灰1kgあたりで土から減る水の量の目安は、次の表のとおりです。

生石灰の作用生石灰1kgあたりの水の量
消化吸水で消石灰に取り込まれる水約0.32kg(生石灰の質量の32%)
発熱で蒸発する水約0.45kg(生石灰の質量の45%)
合計で土から減る水約0.77kg(生石灰の質量の77%)

生石灰と消石灰の使い分けも土の含水比で決まる

石灰には生石灰と消石灰があります。

生石灰は含水比の高い土に、消石灰は含水比の低い土に向いています。主な石灰の種類と特徴は、次の表のとおりです。

石灰の種類石灰の特徴向いている土
生石灰吸水と発熱で土中の水を減らす含水比の高い粘性土・火山灰質粘性土
消石灰イオン交換反応とポゾラン反応で土を改良する含水比の低い土
湿潤消石灰消石灰に20〜25%の水を加え、粉じんを抑えた製品含水比の低い土
石灰系固化材石灰に石膏やスラグ微粉末などを配合し、強度を高めた製品石灰単体では固まりにくい高含水比の粘性土や腐植土

地盤改良で使う石灰系とセメント系の固化材は強度の出方と得意な土が異なる

石灰系とセメント系の固化材は、強度の出方、得意な土、施工時の注意点が異なります。両者の特徴は、次の表のとおりです。

比べる項目セメント系固化材石灰系(生石灰・石灰系固化材)
主な反応水和反応、ポゾラン反応吸水と発熱、イオン交換反応、ポゾラン反応
強度の出方強度が短期に大きく出る強度がゆっくり伸びる(遅硬性)
得意な土砂質土粘性土、含水比の高い土
均一に混ぜるための最少添加量の目安50kg/m³程度(浅層改良・粉体添加)50kg/m³程度(浅層改良・粉体添加)
六価クロム溶出試験試験が必要石灰だけで改良する場合は対象外。セメントを含む製品は試験が必要
取り扱いの注意固化材が水に濡れると強いアルカリ性を示す生石灰が水と反応すると数百℃まで発熱する

セメント系固化材は比較的経済的な固化材です。

また、使用例も多く、長期に安定した強度が必要な現場で選ばれています。

一方、石灰系の強みは、脱水の即効性と施工性の早期改善です。

例えば、完成した路床面が工事車両の走行で壊れても、石灰による改良土は再び締め固めることで強度を保つことができます。

固化材を選ぶときに気をつけること

セメントを含む固化材では六価クロム溶出試験が必要になる

セメントを含む固化材で地盤改良を行う工事では、六価クロム溶出試験が求められます。

固化後に六価クロムが土壌環境基準を超えて溶け出す場合があるからです。

セメント系固化材の強度は低温と有機物で低下する

セメント系固化材の水和反応は、気温が下がるほど遅くなり、0℃以下では強度の発現を見込めません。

冬期の施工では、添加量の割増しや養生方法の工夫を検討しましょう。

また、腐植土やヘドロのように有機物を多く含む土では、有機物が固化の反応を妨げます。

有機物の多い土の改良では、高有機質土用の固化材を候補に加えましょう。

生石灰は発熱に、セメント系固化材はアルカリに注意が必要になる

生石灰は、水と反応すると数百℃まで温度が上がり、発火の危険もある材料です。

生石灰の保管では、水との接触を避け、周りに可燃物を置かないようにしましょう。

また、酸化カルシウムを80%以上含む生石灰を500kg以上貯蔵・取り扱う場合は、消防署などへの届出が必要です。

対するセメント系固化材は、水に濡れると強いアルカリ性を示し、皮膚や目、呼吸器を刺激する場合があります。

作業中は、保護手袋・保護眼鏡・防じんマスクなどの保護具を着用しましょう。

また、住宅や農地が近い現場では、粉じんを抑えた発塵抑制型の固化材や、スラリーで添加する方法を検討しましょう。

まとめ

以上。本記事では地盤改良で石灰系固化材とセメント系固化材を使い分ける基準を解説しました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

  • 地盤改良の固化材は、土質・含水比・強度が必要になるまでの期間で使い分ける
  • 砂質土や早期の強度が必要な現場では、セメント系固化材が第一候補となる
  • 含水比の高い粘性土や走行性の改善が目的の現場では、生石灰や石灰系固化材が第一候補となる
  • セメントを含む固化材では、六価クロム溶出試験が必要
  • 生石灰は発熱に、セメント系固化材は強いアルカリ性に注意が必要

本記事の内容が参考になりましたら幸いです。

参考にした基準・資料

  • 公益社団法人 日本道路協会『道路土工-盛土工指針(平成22年度版)』平成22年4月
  • 公益社団法人 日本道路協会『道路土工-軟弱地盤対策工指針(平成24年度版)』平成24年8月
  • 社団法人 日本道路協会『道路土工要綱(平成21年度版)』平成21年6月 Amazonで見る
  • 危険物の規制に関する政令

書籍へのリンクにはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

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