浅層改良の深さは2m程度までがひとつの目安
浅層改良は、一般的に地表付近の比較的浅い軟弱地盤を対象とする地盤改良工法です。
工法を分類するときには、2m程度までを浅層改良の目安として扱うことがあります。
| 工法 | 改良深度の考え方 | 主な施工機械 |
|---|---|---|
| 浅層混合処理工法 | 2m程度までがひとつの目安 | バックホウ、スタビライザなど |
| 中層混合処理工法 | 浅層改良より深い範囲 | バックホウをベースとした地盤改良機など |
| 深層混合処理工法 | さらに深い地盤 | 専用の深層混合処理機など |
浅層改良では、バックホウなどを使用して原位置土とセメント系固化材を混合・撹拌し、改良地盤を造成する方法が一般的です。
一方、改良範囲が深くなるほど、原地盤と固化材を均一に混合することや、改良底面まで確実に施工することが難しくなります。
そのため、改良深さが2m程度を超える場合は、中層混合処理工法や深層混合処理工法も含めて比較すると考えるとよいでしょう。
浅層改良は2mまでと決まっているわけではない
浅層改良について調べると、「浅層改良の施工深さは2mまで」と説明されることがあります。
しかし、2mという数字をそのまま設計上の上限として扱うのは適切ではありません。
日本建築センターの『建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針』では、適用範囲について、適用する構造物の大きさや改良する深さに特に制限を設けていないとされています。
つまり、重要なのは「2m以下かどうか」ではなく、
- 必要な支持力を確保できるか
- 沈下を許容範囲に抑えられるか
- 改良底面より下の地盤に問題がないか
- 設計で想定した改良体を施工できるか
- 所定の品質を確認できるか
といった設計・施工条件です。
2m程度は浅層改良を検討するうえでの目安であって、すべての工法に共通する絶対的な限界深さではありません。
浅層改良の深さは地盤条件から決める
浅層改良の設計で重要なのは、「何mまで浅層改良ができるか」よりも、必要な支持性能を確保するために何mまで改良する必要があるかです。
たとえば、基礎直下に1m程度の軟弱層がある場合と、4m程度まで軟弱層が続いている場合では、適した地盤改良工法が異なります。
改良深さを決めるときは、地盤調査結果と構造物から地盤に作用する荷重を踏まえて検討します。
支持力を満足する深さまで改良する
建築物や擁壁などの基礎地盤として浅層改良を使用する場合、まず確認するのが支持力です。
改良地盤そのものに十分な強度があっても、改良底面より下の原地盤が軟弱であれば、地盤全体として十分な支持力を確保できない可能性があります。
たとえば、表層1.5mを高強度に改良しても、その直下に非常に軟弱な粘性土が厚く分布している場合、改良地盤だけを見て安全とは判断できません。
したがって、浅層改良の設計では、改良体そのものだけでなく、改良体底面より下の地盤も含めて支持力を確認することが重要です。
改良地盤の下にある軟弱層にも注意する
浅層改良では、改良体直下の地盤状態が重要です。
改良地盤をひとつの剛性の高い地盤として考えると、構造物からの荷重は改良体を通して下部地盤へ伝わります。
そのため、改良体の強度が十分でも、改良体直下の地盤が軟弱であれば問題が生じる可能性があります。
特に、
- 軟弱な粘性土
- 緩い砂質土
- 盛土
- 腐植土
- 圧縮性の高い地層
などが改良底面より下に残る場合は注意が必要です。
浅層改良の深さを決めるときは、どこまで改良するかだけでなく、その下にどのような地盤が残るかを確認しましょう。
支持力だけでなく沈下も確認する
支持力を満足していても、沈下量が大きければ基礎地盤として適切とはいえません。
特に注意したいのが、改良地盤の下に圧縮性の高い粘性土などが残るケースです。
浅層改良によって地表付近を強くしても、下部の軟弱層に荷重が伝われば沈下が発生する可能性があります。
そのため改良深さを決定するときは、
- 改良地盤の変形
- 改良地盤下部の原地盤の沈下
- 全体沈下
- 不同沈下
などについて確認する必要があります。
「支持力を満足したからOK」と判断せず、沈下についても検討することが重要です。
地層境界だけで改良深さを決めない
「軟弱層がGL-1.8mまでだから、改良深さも1.8m」と単純に決められるとは限りません。
地盤は均一ではなく、同じ敷地内でも地層境界が変化していることがあります。
たとえば、ある調査地点では軟弱層がGL-1.8mまででも、少し離れた場所ではGL-2.2mまで続いている可能性があります。
ひとつの調査結果だけを見て改良深さを決めると、場所によって軟弱層が改良地盤の下に残るおそれがあります。
そのため、
- ボーリング調査
- 標準貫入試験
- スクリューウエイト貫入試験
- 土質試験
- 周辺の地盤調査結果
などから地層の連続性を確認することが重要です。
地盤調査結果を地盤断面として整理し、軟弱層の分布を把握したうえで改良深さを決定しましょう。
浅層改良は深くなるほど施工が難しくなる
浅層改良を2mより深く施工できないと一律に決まっているわけではありません。
ただし、改良深さが大きくなるほど施工上の難易度は高くなります。
改良材を均一に混合しにくくなる
浅層改良では、原地盤と固化材を均一に混合することが品質確保の基本です。
改良深さが大きくなるほど、
- 改良底部まで固化材を均一に供給できるか
- 撹拌ムラが発生しないか
- 所定の混合状態を確保できるか
といった問題が大きくなります。
地表付近が十分に混ざっていても、改良底部の混合状態が悪ければ、設計で想定した改良強度を確保できない可能性があります。
したがって、改良深さが大きくなる場合は、使用する施工機械で改良底面まで確実に混合できるかを確認する必要があります。
掘削時の安定性にも注意する
浅層改良では、施工方法によって地盤を掘削しながら固化材と混合します。
改良深さが大きくなれば掘削深さも大きくなるため、
- 掘削面の安定
- 周辺地盤への影響
- 地下水の影響
- 湧水
- 施工ヤード
などについて検討が必要になります。
特に地下水位が高い場合は、施工方法や固化材の配合にも影響する可能性があります。
地盤改良では品質管理が重要
地盤改良は、完成後の改良体内部をすべて目視確認できる工事ではありません。
そのため、施工中と施工後の品質管理が重要になります。
確認する項目としては、
- 固化材の種類
- 固化材の添加量
- 混合・撹拌状況
- 改良位置
- 改良深度
- 改良範囲
- 改良体の強度
などが挙げられます。
『陸上工事における深層混合処理工法 設計・施工マニュアル』でも、所定の改良体を造成するための施工管理と品質管理が重要な項目として扱われています。
浅層改良でも考え方は同じです。
設計で必要な深さまで改良できるだけではなく、必要な品質を確保できる施工方法であることが重要です。
2mを超える場合は中層改良も検討する
改良深さが2m程度を超えるからといって、すぐに大型の深層混合処理機を使用するとは限りません。
浅層混合処理工法と深層混合処理工法の中間的な施工深度を対象とする中層混合処理工法もあります。
『陸上工事における深層混合処理工法 設計・施工マニュアル』では、バックホウをベースマシンとした中層混合処理工法についても紹介されています。
改良深さが浅層改良の施工範囲を超える場合は、中層改良を含めて比較するとよいでしょう。
浅層・中層・深層改良の使い分け
地盤改良工法は、改良深さだけで決めるものではありません。
大まかな考え方としては、次のように整理できます。
改良深さが比較的浅い場合
浅層混合処理工法を検討します。
比較的浅い軟弱地盤を面的に改良する場合に適用しやすい工法です。
特に、
- 軟弱層が表層付近にある
- 改良範囲が面的に広い
- バックホウなどで施工できる
- 改良底面を確認しやすい
といった条件では浅層改良を検討しやすくなります。
改良深さが2m程度を超える場合
中層混合処理工法や深層混合処理工法も含めて比較します。
工法選定では、
- 必要な改良深さ
- 改良面積
- 地層構成
- 地盤の硬さ
- 地下水位
- 周辺構造物
- 施工ヤード
- 必要な改良強度
- 施工期間
- 工事費
などを比較します。
改良深さだけを見て工法を決めるのではなく、施工条件や経済性まで含めて比較することが重要です。
軟弱層が深くまで続く場合
軟弱層が深くまで分布する場合は、専用の施工機械を使用する深層混合処理工法が有力になります。
深層混合処理工法では、地中に撹拌翼などを貫入し、固化材と原地盤を混合して柱状などの改良体を造成します。
浅層改良のように広い範囲をすべて掘削・混合する必要がないため、深い地盤まで改良できます。
ただし、施工可能深度や適用できる地盤条件は工法によって異なります。
採用する場合は、各工法の施工能力や適用範囲、施工実績を確認することが必要です。
浅層改良では「改良深さ」と「改良厚」を区別する
浅層改良の設計や計算では、「改良深さ」と「改良厚」の基準位置にも注意が必要です。
たとえば、地表面から基礎底面まで掘削して、その下を浅層改良するケースを考えます。
地盤面
↓ 根入れ・掘削深さ
基礎底面
↓ 改良厚
改良底面
たとえば、
- 地盤面から基礎底面まで:0.5m
- 基礎底面から改良底面まで:1.5m
であれば、地盤面から改良底面までの深さは2.0mですが、実際の改良厚は1.5mです。
「地盤面からの深さ」と「基礎底面からの改良厚」を混同しないように注意しましょう。
計算ツールでは改良深さの基準位置を確認する
浅層改良の設計計算を行うときは、入力する「改良深さ」がどこからどこまでを示しているのか確認する必要があります。
たとえば、
- 地盤面から改良底面まで
- 基礎底面から改良底面まで
- 改良天端から改良底面まで
では、同じ「改良深さ」という表現でも数値が異なります。
計算ツールへ入力するときは、
- 地盤面
- 基礎底面
- 改良天端
- 改良底面
- 軟弱層下面
の位置関係を整理しておきましょう。
特に基礎の根入れがある場合は、地盤面からの深さをそのまま改良厚として入力しないように注意が必要です。
浅層改良の深さを決めるときのチェックポイント
浅層改良を検討するときは、次の順番で整理すると判断しやすくなります。
- 1. 地盤調査から地層構成を確認する
- 2. 軟弱層の厚さと分布を確認する
- 3. 基礎底面の高さを決める
- 4. 構造物から作用する荷重を確認する
- 5. 必要な支持力を確認する
- 6. 改良地盤下部を含めて沈下を確認する
- 7. 設計上必要な改良深さを決める
- 8. 必要な深さを施工できる工法を選定する
- 9. 配合試験や施工・品質管理方法を決める
重要なのは、最初に「浅層改良だから2m」と決めないことです。
設計上必要な改良深さを求め、その深さまで適切な品質で施工できる工法を選ぶという順番で検討します。
浅層改良の深さに関するよくある疑問
浅層改良は何mまで施工できますか?
2m程度までをひとつの目安として考えると分かりやすいです。
ただし、日本建築センターの指針では改良深さについて一律の制限を設けているわけではありません。
実際の施工可能深度は、施工方法や施工機械、地盤条件によって異なります。
2mを超えたら浅層改良はできませんか?
必ずしも「2mを超えたら施工できない」という意味ではありません。
ただし、深くなるほど均一な混合や施工管理が難しくなるため、中層混合処理工法や深層混合処理工法と比較する必要があります。
浅層改良と深層改良は深さだけで決めますか?
深さだけでは決めません。
工法選定では、
- 地層構成
- 必要支持力
- 沈下
- 改良範囲
- 地下水位
- 施工ヤード
- 周辺環境
- 品質管理
- 経済性
などを総合的に比較します。
軟弱層が2mより深い場合はどうしますか?
浅層改良だけで対応できるかを確認し、中層混合処理工法や深層混合処理工法も含めて比較します。
特に、改良体の下に軟弱層を残す場合は、支持力だけでなく沈下についても確認することが重要です。
まとめ|浅層改良は2mを目安にするが深さだけで決めない
浅層改良の深さは、2m程度までをひとつの目安として考えると分かりやすいです。
ただし、日本建築センターの『2018年版 建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針』では、改良する深さについて一律の制限を設けているわけではありません。
そのため、
「浅層改良=2mまで」
と機械的に判断するのは適切ではありません。
重要なのは、必要な支持力や沈下性能を満足するために、どこまで改良する必要があるかです。
そのうえで、
- 浅層混合処理工法
- 中層混合処理工法
- 深層混合処理工法
のどれが設計条件や施工条件に適しているかを比較します。
浅層改良の深さを決めるときは、地盤調査結果から必要な改良深さを決定し、その深さを確実に施工・品質管理できる工法を選定することが重要です。