重力式擁壁の一括計算|擁壁高ごとにまとめて安定計算

v1.3.3 最終更新日: 2026-10-01

インストール不要で使える無料の重力式擁壁の一括計算用フリーソフトです。擁壁高の異なる重力式擁壁を表に並べて、まとめて計算します(延長1mあたり)。計算の中身は「重力式擁壁の安定計算」と同じで、1タイプずつ計算した場合と同じ結果になります。

このツールで検討できること
  • 擁壁高・天端幅・前面勾配・背面勾配を擁壁ごとに入力し、まとめて計算します。底面幅Bは勾配から決まるため、計算結果として表に出します。
  • 設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・許容値は、表の外で全体に共通して設定します(設計基準・検討ケースを選ぶと、単体ツールと同じ許容安全率・設計水平震度の参考値が入ります)。
  • 転倒・滑動・偏心量の安定計算のOK・NGを表の中で判定します。入力を変えるたびに計算し直すため、計算を始めるボタンはありません。
  • 計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力できます(擁壁高を各計算書の表題にします)。
対象外・注意が必要な条件
  • 一度に計算できるのは20タイプまでです。
  • 表の中では基準・条件を混在させられません。異なる設計基準や検討ケースで比べる場合は、条件ごとに計算してください。
  • 自重で土圧に抵抗する無筋コンクリートの形式のため、躯体(断面)の照査は行いません。盛土等防災マニュアルの解説の中地震時の照査(躯体の応力度)も扱わないため、中地震時は判定を出しません。
  • 支持力は必要地耐力の表示(既定)か、入力した許容支持力度との比較を選ぶことができます(許容支持力度そのものは求めません)。背面盛土・基礎地盤を含む全体としての安定は照査しません。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

共通条件 表のすべての擁壁に同じ値が使われます
基本条件
材料
荷重条件
許容値

擁壁一覧

3 / 最大20タイプ

寸法記号の意味

No 擁壁高 H1 m 天端幅 T1 m 前面勾配 T2 m 背面勾配 T3 m 形状の詳細 背面の形状 底面幅 B m 安定 qmax kN/m2 判定
1
2
3

判定の「詳細」を押すと、その擁壁の照査値と許容値を確認できます。一括帳票は、擁壁のタイプ数ぶんの計算書を1つにまとめて別のタブで開きます(各計算書の表題は「重力式擁壁 H=○○m」になります)。1タイプずつの計算書は、計算結果の詳細からも出力できます。

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

擁壁高の異なる重力式擁壁(無筋コンクリートの台形断面)を表に並べ、同一の設計基準・土質・荷重条件のもとでまとめて計算します。擁壁ごとに、土圧の算定、転倒・滑動の安定計算、合力の作用位置(偏心量)と地盤反力度の算定を行い、OK・NGを表の中で判定します。計算そのものは「重力式擁壁の安定計算」と同じソルバーで行うため、1タイプずつ計算した場合とまったく同じ結果になります。

計算方法・使用式

  • 計算の進め方: 表の1行ごとに「共通条件(表の外で設定した設計基準・土質・荷重・材料・許容値)」と「その行の値(擁壁高・天端幅・前面勾配・背面勾配と、形状の詳細に入力した背面の法担ぎ・天端からの下がり)」を1件分の入力に組み立て、単体ツールと同じ計算を行います。行どうしが計算に影響することはありません。
  • 土圧・安定計算の考え方は単体ツールと同じです(試行くさび法または土圧係数法、盛土等防災マニュアルの解説では安全率、道路土工 擁壁工指針では偏心量による転倒照査)。地震時の荷重の組合せと支持力の扱いも単体ツールと同じです。詳しくは「重力式擁壁の安定計算」の技術解説を参照してください。
  • 既定値の自動入力: 設計基準を選ぶと、許容安全率と無筋コンクリートの単位体積重量を、単体ツールと同じ参考値に入れ替えます。地震時の検討ケースを選ぶと、設計水平震度を入れ替えます。土質定数(γ・φ・Ka・μ)は変わりません。
  • 底面幅Bの列: 底面幅は天端幅T1・前面勾配T2・背面勾配T3の合計として決まるため、入力ではなく計算結果として表に出します(B = T1+T2+T3)。擁壁高を変えて勾配をそのままにすると底面幅は変わらないので、高さに応じた勾配の見直しは設計者が行ってください。
  • 表の判定: 「安定」は転倒・滑動の照査をまとめたものです。盛土等防災マニュアルの解説の常時は、転倒の安全率に加えて、無筋コンクリートの躯体に引張を生じない条件として合力の作用位置(|e|≦B/6)を照査し、「偏心」として並べます。道路土工 擁壁工指針では転倒を偏心量で照査し、「転倒」として表示します。

    支持力の扱いで「入力した許容支持力度と比較する」を選んだときは「支持」が加わります。盛土等防災マニュアルの解説の大地震時で支持力を比較しない場合は、合力が底面中央の2/3の範囲の外にあると「合力」(NG)が加わります。重力式は無筋コンクリートで自重により安定させる構造のため、躯体(断面)の照査は行わず、判定は安定計算だけになります。

    右端の「判定」は、そのすべてを満たしたときだけOKになります。盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は照査を行わないため、「安定」と「判定」はどちらも「—」になります(「詳細」から、参考として合力の作用位置と最大地盤反力度を確認できます)。

  • qmaxの列: 最大地盤反力度です。既定では必要地耐力として表示するだけで、許容支持力度とは比べません。「入力した許容支持力度と比較する」を選ぶと、入力した地盤の許容支持力度(地耐力)と比べた結果が「安定」の列に「支持」として加わります。

    許容支持力度は検討ケースに応じた値を入力してください(盛土等防災マニュアルの解説では常時は長期許容支持力度、大地震時は極限支持力度と比べます)。合力が底面中央の2/3の範囲の外にあるときは地盤反力度の式が成り立たないため、数値を出さずに「算定範囲外」と表示します。比較しない場合は、地盤の許容支持力度がこの値を上回ることを、直接基礎の地耐力計算などで別途ご確認ください。

入力と出力

入力(共通条件・表の外): 準拠する設計基準・土圧の算定方法・検討ケース・設計水平震度kh、土質条件(γ・φ・土圧係数Ka)、上載荷重q、底面と地盤の摩擦係数μ、無筋コンクリートの単位体積重量・透水マット、許容安全率(設計基準の選択に応じて既定値を自動入力)、支持力の扱い(必要地耐力のみ表示/入力した許容支持力度と比較)と地盤の許容支持力度。

入力(擁壁ごと・表の中): 擁壁高H1・天端幅T1・前面勾配T2・背面勾配T3。「形状の詳細」から、背面の法担ぎ(法までの距離・法高・法幅)と擁壁天端からの下がりを擁壁ごとに設定します。

出力: 擁壁ごとの底面幅B・安定の判定・最大地盤反力度qmax(必要地耐力)、総合判定。判定の「詳細」から、その擁壁の照査値と許容値(安全率・偏心量。比較を選んだときは許容支持力度も)を確認できます。計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力でき(各計算書の表題は「重力式擁壁 H=○○m」)、1タイプずつの計算書や単体ツールでも開き直せます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 表の中では、設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・許容値を混在させられません。これらは表の外で全体に共通して設定します。異なる条件で比べる場合は、条件ごとに計算してください。
  • 一度に計算できるのは20タイプまでです。
  • 自重で土圧に抵抗する無筋コンクリートの形式のため、躯体(断面)の照査は行いません(道路土工 擁壁工指針は、一般的な形状の重力式擁壁の躯体の設計を省略してよいとしています)。躯体コンクリートに引張が生じないことを前提とする形式のため、躯体の途中の断面に引張が生じないかは、必要に応じて別途確認してください。
  • 盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は安定照査を行いません(同〔Ⅰ〕表Ⅷ・3-8)。同マニュアルの中地震時の照査は躯体の応力度だけで、本ツールでは扱わないため、「安定」と「判定」の列は「—」になります。
  • 支持力は、既定では最大地盤反力度(必要地耐力)の表示までです。「入力した許容支持力度と比較する」を選んだときだけ、入力値と比べて照査します。許容支持力度そのものは求めないので、直接基礎の地耐力計算などで別途求めてください。盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は、支持力を照査しません。
  • 擁壁ごとの断面形状・土質条件・計算上の仮定は単体ツールと同じです(底版を持たない台形断面。土圧は、試行くさび法では躯体背面(実背面)に、土圧係数法ではかかとを通る鉛直面に作用させる。背面土は単一土層・水位なしの盛土として扱い、切土面が近い切土部の土圧は扱わない。滑動照査で受働抵抗を見込まない)。
  • 背面盛土と基礎地盤を含む全体としての安定(すべり破壊・圧密沈下・液状化など)は照査しません。軟弱層・液状化のおそれのある層がある場合や、斜面上・長大なのり面の下に設ける場合は、別途検討してください。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 盛土等防災マニュアルの解説〔Ⅰ〕[第二次改訂版](令和5年11月): 照査項目と安全率(表Ⅷ・3-8)、地震時荷重(Ⅷ・3・2・1 解説1(1)イ(エ))、土圧の作用面と壁面摩擦角(Ⅷ・3・2・1 解説1(2)、図Ⅷ・3-5)、無筋コンクリート造擁壁の合力の作用位置(Ⅷ・3・2・1 解説6(1))、地盤反力度(式Ⅷ・3-10〜3-12)、積載荷重(Ⅷ・3・2・2 7、図Ⅷ・3-7)、地震時慣性力(Ⅷ・3・2・2 8、図Ⅷ・3-21)。 Amazonで見る
  • 道路土工-擁壁工指針(平成24年度版、日本道路協会): 荷重の組合せ(4-2-1(2))、自重(4-2-2)、載荷重(4-2-3)、地震の影響(4-2-6)、試行くさび法と地震時土圧(5-2-4(2)(5))、土圧の作用面と壁面摩擦角(5-2-4(1)、解表5-2)、転倒・滑動の照査(5-3-2、式(解5-10)〜(解5-13))、重力式擁壁(5-7-2)、擁壁の構造形式の選定上の目安(解表3-1。重力式擁壁で適用されている主な擁壁高は5m程度以下)。 Amazonで見る

設計水平震度・許容安全率・土質定数は参考の既定値を入力していますが、適用する事業・地域・地盤条件により異なります。設計基準と検討ケースの選択で自動入力が変わるのは、許容安全率・コンクリートの単位体積重量・設計水平震度で、土質定数(γ・φ・Ka・μ)は変わりません。

まとめて計算する場合も、採用値の妥当性、支持地盤の許容支持力度、根入れ深さ、排水工、地下水位の影響、背面土の締固めは、擁壁ごとに設計者が別途確認してください。

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