階段擁壁の安定計算・構造計算|宅地の階段擁壁
インストール不要で使える無料の宅地の階段擁壁(階段の左右を側壁とし、底版と一体としたU字断面)設計計算用フリーソフトです。中詰なし・中詰ありの2つの状態と、上載荷重・歩行者荷重の載せ方を自動で検討し、側壁(片持ばり)・底版(弾性床上のはり)の断面計算、擁壁自体の安定計算、浮上がりに対する検討を行います。
- 中詰めなし・中詰めありの2つの状態と、上載荷重・歩行者荷重の載せ方の組を自動で照査し、側壁・底版の部材(断面)計算と、転倒・滑動・支持力・浮上がりの検討を行います。
- 左右で異なる土砂形状による偏土圧に対応します。
- 常時の部材の照査と安定計算の土圧は静止土圧です(擁壁工指針 5-2-4(3)。主働土圧への低減は行いません)。他形式の擁壁とは前提が異なります。
- 内空に水は入らないものとし、内水位は扱いません。地下水位は静水圧(揚圧力)として扱い、浸透流は考慮しません。
- 着目する横断面についての延長1mあたりの計算です。階段の縦断方向の勾配は扱いません。躯体は左右対称が前提です。
- 底版の解析は鉛直地盤反力係数kvに依存します。kvの設定が結果に大きく影響します。
- 施工時の底版中央の照査、側方地盤の液状化による土圧の増加、地盤変位の影響(応答変位法など)、中詰め土の地震時の土圧の増加と慣性力は扱いません。
リアルタイムプレビュー
計算方法と適用範囲
このツールで計算できること
階段擁壁(宅地の階段の左右を側壁とし、底版と一体とするU字断面。延長1mあたり)について、部材の安全性(側壁・底版の断面照査)、浮上がりに対する検討、躯体自体の安定性(滑動・転倒・支持)の照査を行います。
中詰め土なし(階段下段側)と中詰め土あり(階段最上段部)の2つの状態と、上載荷重・歩行者荷重の載せ方を自動で解き、照査ごとに不利な組を採用します。常時に加えて、設計水平震度を用いた地震時の照査に対応します。
計算方法・使用式
- 躯体の設計は道路土工 擁壁工指針のU型擁壁(5-7-6)に準じます。
荷重の組合せ: 常時は、背面の上載荷重と内空の歩行者荷重を「載せる・載せない」の組(「自重+載荷重+土圧」「自重+土圧」と、片方だけ載せる配置)を中詰めの状態ごとに計算し、照査ごとに不利な組を採ります(指針 4-2-1(2)(3)・4-2-3)。
中詰め土のある状態では、上載荷重は側壁を内側へ、歩行者荷重は中詰め土を通して外側へ押すため、側壁の内側引張は歩行者荷重だけを載せたときに大きくなります。地震時は「自重+地震の影響」として上載荷重と歩行者荷重を組み合わせません。
土圧: 常時は静止土圧(p = K0・(γ・z + q)。指針 5-2-4(3)、式 解5-5)です。地震時は、指針 5-7-6 が示す道路橋示方書Ⅴ耐震設計編の地震時土圧(修正物部・岡部式)とし、地震時主働土圧係数 KEA を同編 式(4.2.2)の「背面が土とコンクリートの場合」の近似式で自動入力します。
あわせて躯体と底版上の土の自重の慣性力を考慮します。法担ぎは換算等分布荷重として上載荷重に加算します(本ツールの扱い)。
- 側壁: 底版との結合部を固定端とする片持ばりです(指針 5-7-6(3))。中詰め土は内面から側壁を押し背面土圧に抵抗するため、中詰め土の土圧が背面土圧を上回る場合の内側引張も考慮し、外側・内側両方の主鉄筋を照査します。地震時の慣性力は、外側引張の照査では内向き、内側引張の照査では外向きに取ります。
底版: 弾性床上のはり(Winklerばり)として、鉛直地盤反力係数kvによるばね支持のはりを有限要素で解き、断面力と地盤反力分布を求めます(指針 5-7-6(3))。地盤ばねは引張を受け持たないものとし、底版が浮き上がる範囲のばねを外して解き直します。
照査断面は中央・左右の側壁付け根と、張出しがあればそのつけ根です。中詰めの状態で引張側が入れ替わることがあるため、断面ごとに下側引張・上側引張の両方を照査します。内空側の断面には側壁から伝わる軸方向力(中詰め土のない状態は圧縮、中詰め土の土圧が背面土圧を上回ると引張)を入れます。
- 階段スラブの死荷重(厚さ×単位体積重量)は、中詰めの有無によらずすべての組に載せます。歩行者荷重は、底版の上の階段(中詰め土のある状態では中詰め土の天端)に載る活荷重として扱い、中詰め土に対する上載荷重として内面の土圧にも算入します。
- 浮上がり: Fs = (WB+WS+QS)/(US+UD)(躯体自重、張出しとテーパーの上の土の重量、土のせん断抵抗または側壁と土の摩擦抵抗と、静水圧による浮力・地震時の過剰間隙水圧による浮力の比。指針 式 解5-42)。中詰め土のない状態で、上載荷重と歩行者荷重を載せずに照査します。
安定性: 滑動は Fs = (V0・μ+cB・B′)/H0(式 解5-10、B′= B−2e)、転倒は合力作用位置の偏心量(常時 |e|≦B/6、地震時 |e|≦B/3)、支持は地盤反力度と許容鉛直支持力度(地震時は1.5倍)の比較で照査します(指針 5-3-2)。
側壁外面のテーパーの上の土を自重に入れ(指針 4-2-2)、張出しとテーパーの上の上載荷重は支持の照査だけに入れます(解図4-2)。合力が底面中央の2/3の範囲の外にあるときは地盤反力度を算定範囲外として支持を NG とします。
- 部材計算は許容応力度法(単鉄筋長方形断面、ヤング係数比n=15)です。
入力と出力
入力: 検討ケース・地盤種別・地域別補正係数cz・設計水平震度kh、躯体形状(高さH・内空幅・側壁厚・底版厚・張出し)、中詰め土(高さ・単位体積重量・土圧係数)・階段スラブ・歩行者荷重・地下水位、左右別々の土砂形状、材料(γ・Fc・鉄筋材・部材の環境条件)、静止土圧係数K0・背面土の土質と地震時土圧係数KEA・上載荷重q、基礎条件(鉛直地盤反力係数kv・摩擦係数μ・付着力cB・許容鉛直支持力度)、浮上がりの QS・UD、配筋(径・ピッチ・純かぶり)、許容安全率・許容応力度(多くは他の入力から自動入力)。
出力: 中詰めの状態と上載荷重・歩行者荷重の載せ方の組ごとの断面力と安定計算、側壁(外側・内側)・底版(中央・側壁付け根・張出しのつけ根の下側・上側)の応力度照査、浮上がりの安全率、滑動・転倒(偏心量)・支持の照査結果のOK/NG判定と、照査ごとに採った組。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。
適用範囲・計算上の仮定
- 着目する断面の横断面について、延長1mあたりの2次元計算です。階段の縦断方向の勾配は扱いません。
- 躯体は左右対称とし、土砂形状のみ左右別々に与えられます。
- 常時の背面土圧は静止土圧です。主働土圧への低減は行いません。
- 土圧は水平成分のみを考慮し、鉛直成分は無視します。
- 内空に水は入らないものとし、内水位は扱いません。中詰め土も湿潤単位体積重量で扱います(内空側は排水されているものとみなします)。
- 底版の解析は鉛直地盤反力係数kvに依存します。kvの設定が結果に大きく影響します。
- 地下水位は静水圧(揚圧力)として扱い、浸透流は考慮しません。
- 地震時土圧係数の自動入力は、道路橋示方書Ⅳ下部構造編 7.9を満たす良質な背面土を前提とした近似式です。これを満たさない背面土では、別途評価した値を直接入力してください。
- 施工時の底版中央部の照査、側方地盤の液状化による側壁への土圧の増加、地盤変位の影響が大きい場合の応答変位法などによる検討、中詰め土の地震時の土圧の増加と慣性力は扱いません。
使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項
- 道路土工 擁壁工指針(平成24年7月、日本道路協会): U型擁壁の設計(5-7-6)、荷重の組合せ(4-2-1)、自重と載荷重の載荷方法(4-2-2・4-2-3、解図4-1・4-2)、静止土圧(式 解5-5)、設計水平震度(解表5-1)、浮上がりの照査(式 解5-42)、滑動(式 解5-10)・転倒・支持の照査(5-3-2)、許容鉛直支持力度と摩擦係数(解表4-8・解表4-9)、コンクリートのヤング係数(表4-1)、許容応力度(表4-2〜表4-5・表4-10)。 Amazonで見る
- 道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編(平成29年11月、日本道路協会): 地震時土圧(4.2、式(4.2.2))。 Amazonで見る
- 道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月、日本道路協会): 鉛直方向地盤反力係数 kv(式(8.5.2)・(8.5.3)、表-8.5.1、表-9.6.1)。 Amazonで見る
- 道路橋示方書・同解説Ⅰ共通編(平成29年11月、日本道路協会): 地震時土圧を算出する場合の壁面摩擦角(表-解8.7.1)、歩行者荷重の既定値の参考とした歩道等の群集荷重(表-8.2.3)。
設計水平震度・許容安全率・許容応力度・土質定数・鉛直地盤反力係数・歩行者荷重・上載荷重は参考の既定値を自動入力しますが、地域・用途・地盤条件により異なります。採用値の妥当性のほか、揚圧力の設定、階段部の排水、支持地盤の許容支持力度は、設計者が別途確認してください。
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