水理学の公式早見表|マニング式・限界水深・ベルヌーイの定理・損失水頭・堰の流量

v1.0.0 最終更新日: 2026-10-19

連続の式・ベルヌーイの定理・静水圧と全水圧、開水路(マニング式・径深・比エネルギー・フルード数・限界水深)、管水路(ダルシー・ワイスバッハの式・ヘーゼン・ウィリアムス式・損失水頭)、堰・オリフィス・合理式の公式を、図とあわせてまとめた早見表です。印刷やPDFへの保存もできます。

このツールで検討できること
  • 水理の基本の式と、開水路・管水路・堰・オリフィス・合理式の公式を、図とあわせて確かめることができます。
  • 印刷用の頁から、印刷やPDFへの保存ができます。
対象外・注意が必要な条件
  • 時間で変わらない流れ(定常流)の式です。不等流・不定流の計算は扱いません。
  • 粗度係数・流速係数・損失係数・流量係数の値は載せていません。適用する基準や便覧の値を用いてください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本の式

水の密度を ρ(≒1,000 kg/m³)、重力加速度を g(≒9.8 m/s²)とします。水の単位体積重量は ρg(≒9.8 kN/m³)です。

連続の式

流量
\(Q = Av = A_1 v_1 = A_2 v_2\)A は流れの断面積、v は断面の平均流速

ベルヌーイの定理

断面 1 と断面 2 のエネルギー
\(z_1 + \dfrac{p_1}{\rho g} + \dfrac{v_1^2}{2g} = z_2 + \dfrac{p_2}{\rho g} + \dfrac{v_2^2}{2g} + h_L\)\(z\) は位置水頭、\(p/\rho g\) は圧力水頭、\(v^2/2g\) は速度水頭、\(h_L\) は 1 から 2 までの損失水頭

静水圧

水面から深さ h の圧力
\(p = \rho g h\)
浮力
\(F = \rho g V\)V は水中にある部分の体積

平面に働く全水圧

全水圧
\(P = \rho g\,h_G A\)\(h_G\) は面の図心の深さ、\(A\) は面積
作用点の深さ
\(h_C = h_G + \dfrac{I_G}{h_G A}\)\(I_G\) は図心を通る水平な軸まわりの断面二次モーメント
鉛直な長方形の壁(幅 B、水深 h)
\(P = \dfrac{\rho g B h^2}{2}\)作用点は水面から 2h/3

2. 開水路

水面が大気に接して流れる水路(側溝・水路・河川、満流でない管)の式です。等流では、水面の勾配と水路の勾配が等しくなります。

マニング式

平均流速
\(v = \dfrac{1}{n} R^{2/3} I^{1/2}\)n は粗度係数、R は径深(m)、I は水面(エネルギー線)の勾配
流量
\(Q = Av\)
シェジー式との関係
\(v = C\sqrt{RI},\quad C = \dfrac{R^{1/6}}{n}\)

長方形の水路(幅 B、水深 h)

Bh
流水の断面積
\(A = Bh\)
潤辺
\(S = B + 2h\)
径深
\(R = \dfrac{A}{S} = \dfrac{Bh}{B + 2h}\)

台形の水路(底幅 B、のり勾配 1:m)

1:mBh
流水の断面積
\(A = (B + mh)\,h\)
潤辺
\(S = B + 2h\sqrt{1 + m^2}\)
水面幅
\(B_s = B + 2mh\)

円形の管が満流のときは、径深 R=D/4(D は内径)です。

比エネルギーとフルード数

比エネルギー
\(E = h + \dfrac{v^2}{2g} = h + \dfrac{Q^2}{2gA^2}\)
フルード数
\(Fr = \dfrac{v}{\sqrt{g h_m}}\)\(h_m = A/B_s\) は平均水深、\(B_s\) は水面幅
流れの区分
\(Fr < 1,\quad Fr = 1,\quad Fr > 1\)順に常流、限界流、射流

限界水深

一般の断面
\(\dfrac{Q^2 B_s}{g A^3} = 1\)
長方形の水路
\(h_c = \sqrt[3]{\dfrac{q^2}{g}}\)\(q = Q/B\) は単位幅あたりの流量
限界流速
\(v_c = \sqrt{g h_c}\)
最小の比エネルギー(長方形)
\(E_{\min} = \dfrac{3}{2} h_c\)

水路の断面と勾配から水深・流速・流量を求める計算は、開水路の水理計算で行うことができます。

3. 管水路

水が管の断面いっぱいに流れる(満流)ときの損失水頭の式です。D は管の内径、L は管の長さ、v は平均流速です。

ダルシー・ワイスバッハの式

摩擦による損失水頭
\(h_f = f\,\dfrac{L}{D}\,\dfrac{v^2}{2g}\)f は摩擦損失係数
レイノルズ数
\(Re = \dfrac{vD}{\nu}\)ν は動粘性係数(水 20℃で約 1.0×10⁻⁶ m²/s)
層流(Re ≦ 2,000 程度)
\(f = \dfrac{64}{Re}\)

マニング式(満流の円管)

摩擦損失係数
\(f = \dfrac{124.5\,n^2}{D^{1/3}}\)
摩擦による損失水頭
\(h_f = \dfrac{10.3\,n^2 Q^2 L}{D^{16/3}}\)

単位は m・s(g=9.8 m/s²)です。

ヘーゼン・ウィリアムス式

平均流速
\(v = 0.849\,C R^{0.63} I^{0.54}\)\(C\) は流速係数、\(I\) は動水勾配(\(h_f/L\))
満流の円管の流量
\(Q = 0.2785\,C D^{2.63} I^{0.54}\)
満流の円管の損失水頭
\(h_f = 10.67\,C^{-1.85} D^{-4.87} Q^{1.85} L\)

単位は m・s です。

局所の損失水頭

一般の形
\(h = f_x\,\dfrac{v^2}{2g}\)\(f_x\) は入口・曲がり・弁などの損失係数
急な拡大
\(h = \dfrac{(v_1 - v_2)^2}{2g}\)
出口
\(h = \dfrac{v^2}{2g}\)
水槽の間の水位差 H
\(H = \left(f_e + f\dfrac{L}{D} + \sum f_x + 1\right)\dfrac{v^2}{2g}\)\(f_e\) は入口の損失係数

入口・曲がり・弁などの損失係数は形によって異なるため、適用する基準や便覧の値を用いてください。

4. 堰・オリフィス・合理式

堰とオリフィスの流量は、理論の式に流量係数 c を掛けて求めます。c は、堰・オリフィスの形と、適用する基準の式によって異なります。

四角堰(越流幅 B、越流水深 h)

Bh
流量
\(Q = \dfrac{2}{3}\,c\,B\sqrt{2g}\,h^{3/2}\)

三角堰(頂角 θ)

θh
流量
\(Q = \dfrac{8}{15}\,c\tan\dfrac{\theta}{2}\sqrt{2g}\,h^{5/2}\)
直角三角堰(θ=90°)
\(Q = \dfrac{8}{15}\,c\sqrt{2g}\,h^{5/2}\)

オリフィス

ha
小さなオリフィスの流量
\(Q = c\,a\sqrt{2gh}\)a はオリフィスの面積、h は水面から中心までの深さ
もぐりオリフィス
\(Q = c\,a\sqrt{2gH}\)H は上流と下流の水位の差
トリチェリの定理
\(v = \sqrt{2gh}\)

合理式(雨水の計画流出量)

集水面積を ha で表すとき
\(Q = \dfrac{1}{360}\,f\,r\,A\)Q は m³/s、f は流出係数、r は降雨強度(mm/h)、A は集水面積(ha)
集水面積を km² で表すとき
\(Q = \dfrac{1}{3.6}\,f\,r\,A\)

盛土等防災マニュアルの解説〔Ⅱ〕 式ⅩⅡ・2-1、式ⅩⅡ・3-1。

流出係数・降雨強度式・流達時間から計画流出量を求める計算は、雨水流出量の計算で行うことができます。

計算方法と適用範囲

計算式・適用範囲・使用基準と参考文献

このツールで計算できること

排水施設・水路・管路の設計でよく使う水理学の公式を、図とあわせて1ページにまとめた早見表です。基本の式、開水路、管水路、堰・オリフィス・合理式の4つに分けています。

計算方法・使用式

  • 基本の式は、連続の式(流量は流れの断面積と平均流速の積)、ベルヌーイの定理(位置水頭・圧力水頭・速度水頭と損失水頭のつり合い)、静水圧と面に働く全水圧です。
  • 開水路は、マニング式で平均流速を求め、断面積を掛けて流量を求めます。径深は、流水の断面積を潤辺(水に接する周の長さ)で割った値です。
  • フルード数が1より小さい流れを常流、1より大きい流れを射流といい、フルード数が1になる水深を限界水深といいます。
  • 管水路は、摩擦による損失水頭をダルシー・ワイスバッハの式で表し、摩擦損失係数をマニング式やレイノルズ数から求めます。入口・曲がり・出口などの局所の損失水頭を足し合わせると、全体の損失水頭になります。
  • 合理式は、集水区域に一様な強さの雨が降り続いたときの、計画する地点の最大の流出量(計画流出量)を求める式です。

入力と出力

入力: なし(公式を見るだけの早見表です)。

出力: 公式と図。印刷用の頁から、印刷やPDFへの保存ができます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 時間で変わらない流れ(定常流)の式です。水深が場所で変わる不等流の計算や、時間で変わる不定流の計算は扱いません。
  • 粗度係数・流速係数・損失係数・流量係数の値は載せていません。水路や管の材料、堰・オリフィスの形、適用する基準によって値が異なるため、基準や便覧の値を用いてください。
  • 管のマニング式とヘーゼン・ウィリアムス式の係数は、長さを m、時間を s で表したときの値です。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 水理学の標準的な公式(連続の式、ベルヌーイの定理、静水圧、マニング式、比エネルギーと限界水深、ダルシー・ワイスバッハの式、ヘーゼン・ウィリアムス式、堰とオリフィスの流量の式)。
  • 盛土等防災マニュアルの解説〔Ⅱ〕(令和5年11月、第二次改訂版、ぎょうせい): ⅩⅡ・2・2 排水施設の規模(合理式 式ⅩⅡ・2-1)、ⅩⅡ・3・3・2 流量計算(合理式 式ⅩⅡ・3-1)。 Amazonで見る

排水施設の規模の決め方(降雨確率年・余裕高・許容流速など)は、適用する基準により別途確認してください。

書籍へのリンクにはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。